嶋田篤人個展「待つ」

2018年11月22日(木)〜12月2日(日)

展覧会概要

嶋田篤人は第一回GSS フォトアワードでのグランプリ受賞をはじめ、近年目覚ましい活躍をみせる写真家です。
モノクロームの銀塩写真のみを用いたその作品は、徹底して削ぎ落とされた形式でありながら、豊かな意味を喚起させます。
そして、単に美的な階調表現に留まることのないそのイメージは、写す者と写されるモノが互いを触発しあうような関係性を、観る者に感じさせます。
嶋田が、静けさを湛えた印画によって提示するその試みは、自己と世界への探求と言い換えることも可能でしょう。

この機会にぜひご覧ください。

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その旅路、私は何かに出会うことを待っている。
房総半島で写真を撮る。
私はここで写真を撮ることが好きだ。
半島の終わりある道や、歩いては行けない海、佇むモノたちはまるで年輪を重ね待っているように見える。
私は立ち止まる。
私を立ち止まらせたものは何か。
絶対的な存在感でいて、しかし何者でもない何か。
ファインダーを覗き、それが再び現れるのを待つ。
「待つ」は「祀る」の由来という説がある。
シャッターの裏側、フィルムは露光を待ち、潜像が現像を待つ。
ファインダーで見えているモノの向こう側に何かが見えた時、私はシャッターをきる。
それは写らないものが写るという盲信ではない。
写るという事象そのものを体験し信じること。
繰り返し房総半島を廻る。
繰り返し暗室で写真のサークル( 露光、現像、定着) を廻る。
それは私にとって、祀るように儀式めいたサークルである。
その旅路、私が待っているものは何か。
或いは私を待っているものは何か。
例えば、小さな用水路からすくい上げた網に、思わぬ大物が入ってしまった時のバタバタとした魚の重さ。
初めて遠くまで自転車で来てしまった夕暮れに、私を引きつけてやまない戦慄。
無意識の深淵、遠い故郷のような場所と私を繋ぎとめてくれる何か。
そんなものを私は待ち、写真において自己を世界へ統合したい。

-嶋田篤人


プロフィール

嶋田篤人 / Atsuto Shimada

1989 年 千葉県生まれ
2011 年 東京工芸大学芸術学部写真学科卒業
主に房総半島をモノクロフォルムで撮影
オリジナルプリントを制作し発表を続ける


個展

2016「思わぬ壺」(Alt_Medium / 東京)
「堰を切らぬ廐」(PondGallery / 東京)

グループ展

2017Gelatin Silver Session「GSS Photo Award」受賞者展(富士フイルムフォトサロン / 東京)
The 9th Gelatin Silver Session ポートレート(AXIS ギャラリー / 東京)
2015The 8th Gelatin Silver Session 撮り下ろし競作(AXIS ギャラリー / 東京)

受賞歴

2017「CANON GINZA presents SHINES」濱中敦史 選
2015「東川国際写真フェスティバル赤レンガ公開ポートフォリオオーディション」準グランプリ
2013「ゼラチンシルバーセッションGSS フォトアワード」グランプリ
2011「塩竈フォトフェスティバルポートフォリオレビュー」特別賞

嶋田篤人 個展「待つ」

2018年11月22日(木)〜12月2日(日)
12:00〜20:00 ※水曜日休廊


【お問い合わせ】

〒161-0033
東京都新宿区下落合2-6-3 堀内会館1F
JR高田馬場駅徒歩7分(下落合二丁目歩道橋そば)
2-6-3, Shimoochiai, Shinjuku, Tokyo, 161-0033

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