阿部祐己個展「Trace of fog」

2018年8月23日（木）〜9月6日（木）

展覧会概要

阿部祐己は長野県出身の若手写真家です。
Alt_Mediumにおける本展はepSITE（東京・新宿）にて開催される「Trace of Mountain」との同時開催となります。
2014年三木淳賞受賞作「新しい家」をはじめとして、阿部の作品の多くは出身地である長野県にて撮影されています。どの作品も、刻々と変化する自然の姿を雄大に捉えながらも、そこには、点景のように小さく微かであっても、人の存在と営みの痕跡が確かに記されています。
阿部の作品は、レンズの前、其処に在る自然を通じて、此処に在る自然としての私たち、人間を再考させます。

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Trace of fog
” 霧ヶ峰”は名前の由来通り、しばしば濃い霧が立ち込める山だ。
霧に覆われると境目が消え、どこまでも先に続いているような錯覚を覚えた。
かつて、山には巨大なスキー場が存在していた。
２つのジャンプ台を抱え、冬季オリンピックの候補地にもなったという。
さらに遡ると、ここは山一面が狩り場だった。
800年前に武士が腕を競った狩猟祭は鎌倉幕府が主催した大規模なもので、草原に残る社跡で行われる神事が、その名残を現在まで伝えている。
一方で、山には本来の役目を終えた建築群がひとつ、ふたつと増えている。
放置された建造物は、現代の活動を後世に伝える新たな遺跡のようにも思えた。
Traceとは登山の用語で使われる、先行する者が残す踏み跡のこと。
先人達が通った道は、姿を消すもの、形を変えて残るもの、様々だ。
それらが時代ごとの地層となって重なり、その表面を霧が覆う。
霧は一瞬だ。
出ては消えて、すべてを覆うように見えてもどこかへと消える。
人の活動も同じだろうか。
古の史跡も現代の建物跡も、山の表層に作られた一過性の存在に過ぎない。
山の時間軸を考えれば、人の痕跡は霧のような一瞬の存在とは考えられないだろうか。
霧の先には、はじまりはなく、終わりもない。
あとに残る、あるいは埋れていく霧のあとを探して、私は道を辿っている。

-阿部祐己

プロフィール

阿部祐己 / ABE Yuki

1984年生まれ、長野県出身

個展

2016	「霧のあと」（Nikon Salon / 東京・大阪）
	「新しき家」（Nikon Salon / 大阪）
2015	「新しき家」（Nikon Salon / 東京）
2014	「新しき家」（Nikon Salon / 東京・大阪）

グループ展

2015	「全州国際Photo FESTIVAL」（全州郷校全州市・韓国）
2014	「BIRTH 展」（CANSON Gallery / ソウル・韓国）
	「三菱商事アートゲートプログラム展」（表参道 GYRE / 東京）
2013	「キヤノンフォトグラファーズセッション2012」（Canon 品川オープンギャラリー / 東京）
	写真新世紀」（東京都写真美術館 / 東京、せんだいメディアテーク / 宮城）
2011	「写真新世紀」（東京都写真美術館 / 東京、せんだいメディアテーク / 宮城）

受賞歴

2015	第17 回三木淳賞受賞
2014	三菱商事アートゲートプログラム入選
2012	写真新世紀佳作
2011	写真新世紀佳作

出版

2018	『Trace of fog』（roshin books）

Website

http://www.yu-kiabe.com/

その他

本展覧会は、弊ギャラリーのほか2018年8月24日（金）～9月6日（木）の日程でepSITE（東京・新宿）にて開催される阿部祐己写真展「Trace of Mountain」と同時開催となっております。

阿部祐己写真展「Trace of Mountain」
2018年8月24日（金）～9月6日（木）
開館時間：10：30～18：00＊日曜日休廊、最終日14：00まで
〒163-0401
東京都新宿区西新宿2-1-1 新宿三井ビル1 階
03-3345-9881
https://www.epson.jp/katsuyou/photo/taiken/epsite/

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また、会期中は両会場で阿部祐己の初となる写真集『Trace of fog』を販売予定です。
こちらもどうぞ合わせてご覧くださいませ。

阿部祐己写真集『Trace of fog』
出版：roshin books
サイズ：248 × 225 mm
ページ：80頁
価格：¥4,860-（税込）