展覧会概要
動物園を撮影し始めて2年が過ぎた。
朝の開園と同時に撮影を始めるのだが、その時間に入園するのは 私と同じようにカメラを持っている人達が多いように思う。
彼達は入園とともに思い思いの撮影ポイントへと散って行く。
人気が無くなってしまった入園ゲートで、私は行くべき具体的な目的がないので、
とりあえず案内看板を眺めて見る。
時折どこからか動物の鳴き声が響くのだが、
聞きなれない声だからなのか少し気味が悪くもある。
大概の場合道順通りに、太陽の方向を気にしながら「展示」を見て歩く。
写真になりそうな場所があればアングルを探して撮影し、また次へと歩いて行く。
繰り返し同じ様な場所を撮影していると、思いがけない風景に出会ったりする事は ほぼ無いままに、1日が終わったりする。
フィルムの現像が終わり、まずはコンタクトシートを作り、
気になるカットはテストプリントへ。
暗室の中で、10秒ほどの露光を終えた印画紙が現像液の中で段々と像を現す。
それは淡いような、まどろっこしい様な2分間。
さらにもう1分間定着液の中で印画紙から写真となるのを待つ。
蛍光灯をつけ少しだけ明るくなった部屋で、
その写真を定着液から浮かせ丁寧に見る。
像を定着した紙に浮き出た景色は、
この時初めて白と黒の精細な写真として見ることが出来る。
この白と黒の写真からは私の記憶から欠落した『もの』や『こと』が見えてくる。
そして、見続けて行くうちに、
私の記憶が写真に依って補足され修正されるのではなくて、
写真の中の景色に書き換えられて行くのでは無いかとも思う。
その時に初めて、その場にいたのかも知れないと思えてくる。
写真が、現実であるはずの私の撮影記憶と書き換わる。
私の目や記憶は、またもや写真を超えられなかったんだと思い知る。
それは撮影者ならではなのかも知れないのだけれども。
プロフィール
戸室健介 / TOMURO Kensuke
1976年東京生まれ
2010年頃より写真家活動を始める。
個展
2023 | 「exhibitions」(Alt_Medium / 東京) |
2013 | 「paint a black rock」(ギャラリー Q / 東京) |
2012 | 「through the wood」(ギャラリー Q / 東京) |
2011 | 「glass room#5/unknown drawing」(GALLERY mestalla / 東京) |
グループ展
2012 | 「Heartwarming 2012」(ギャラリーQ / 東京) |
2011 | 「public image/anti drawing 1」(横浜美術館レクチャーホール / 神奈川) |
「publicimage1」(神奈川県民ホールギャラリー 第4展示室 / 神奈川) | |
「publicimage2」(横浜市民ギャラリーあざみ野 / 神奈川) | |
「publicimage3」(横浜市民ギャラリーあざみ野 / 神奈川) | |
「publicimage4」(横浜市民ギャラリーあざみ野 / 神奈川) | |
「publicimage5」(横浜市民ギャラリーあざみ野 / 神奈川) |
受賞
2000 | 「第10回コニカフォトプレミオ」佳作 |
Website
https://www.kensuketomuro.com/
戸室健介 個展「exhibitions #2」
2024年3月22日(金)~4月3日(水)
12:00〜19:00 ※木曜日休廊、最終日17:00まで