展覧会概要
イイダユキは2016 年にDo’s Niko(大阪)で開催された個展「わたしは毎日うけいれる。そして、広げた風呂敷はたたむ。」を皮切りに精力的に作品発表を行い、2019 年には第8回 EMON AWARD ファイナリストに選出、2020 年には清里フォトアートミュージアム(山梨)に作品が収蔵されるなど、着実にキャリアを積み上げている写真家です。
今回Alt_Medium(東京)で発表される作品「THE WEDDING」では写真というメディアを “ 最も短い演劇 ” とたとえるイイダが、死に見えない「死」と、その関係性を結婚式という舞台で表現します。
これにより2022 年に結婚したイイダが配偶者の「死」を演劇的に演出することで、結婚を期に感じた違和感や不条理を浮かび上がらせるでしょう。
本展覧会では二人が入籍した2022 年3 月から2023 年3 月までに撮影された中から選び抜かれた作品を展示いたします。
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夫が死んだ。去年結婚したばかりだった。
“愛情って情熱とか欲望とは全く違う場所に存在するのだと思う。”
たまたま読んでいた小説の一節に妙に納得していた時期だった。
私と夫は10 年以上も付き合った間柄で、コロナを言い訳にして結婚を先延ばしにし続けていたのだけど、それがどうしてこうなったのか。いつのまにか、当たり前のような流れで、気づいたら結婚していた。あまり考えもせず、特別なきっかけがあったわけでもなく、ある時から急に、私たちは夫婦になったのだ。
私が夫を手にかけようと思ったのは、憎いからじゃなかった。夫が死んだら悲しいかどうかを試したくなったから。
死んだ夫を見て、何だか実感が湧かない、死をもっと実感したいと感じた。私は夫の死体を撮ることにした。プリンターから出てきた彼の顔を見て、私は納得した。夫を殺したときよりも、より鮮明に。
その「グラフィック」を集めてコレクションを作ってみた。結婚写真のように、部屋に飾れるように。オリジナルラベルも作って、1枚1枚を大切に愛している。
− イイダユキ
プロフィール
イイダユキ / IIDA Yuki
1991年島根県生まれ
2014年高知大学生涯教育課程グラフィックデザイン専攻 卒業
2017年 – 現在、京都芸術大学写真学科 在籍中
活動歴
2021 | グループ展桑迫伽奈・イイダユキ 「夜になりすます。」(PHOTO GALLERY FLOW NAGOYA / 名古屋) |
2020 | グループ展「ヤング・ポートフォリオ受賞展」(清里フォトアートミュージアム / 山梨) |
2019 | KYOTOGRAPHIE KG +グループ展 「Beyond the Portrait」(ギャラリー富小路 / 京都) |
2016 | 個展「わたしは毎日うけいれる。そして、広げた風呂敷はたたむ。」(Do’ s Niko / 大阪) |
受賞
2020 | ヤング・ポートフォリオ – 清里フォトアートミュージアム 7点写真収蔵 |
2019 | 第8 回 EMON AWARD ファイナリスト |
イイダユキ個展「THE WEDDING」
2023年5月26日(金)~31日(水)
12:00〜19:00 ※最終日17:00まで