
展覧会概要
隔たりと現われ
「Le moment où je parle est déjà loin de moi. ──
私が話す瞬間は、すでに私から遠く離れている」
── ボワロー
私がシャッターを切ると、液晶ファインダーの中で世界は一瞬、静止します。しかし、ファインダーから目を離すと、さきほどまで光を受けてきらめいていた葉は、風に吹かれて遠くへと散っていきます。次の瞬間、足もとの苔を包む柔らかな光に目が触れ、そしてまた、遠くの森へと視線が移っていきます。
人間の知覚は寸断されることなく、ひと続きに流れています。私たちは、知覚される〈いま-ここ〉が時間軸上の一点ではなく、豊かな幅や奥行きをもつことを、直感的に知っています。私がある光景をとらえるために、2枚あるいはそれ以上の枚数を必要とするのは、そのためです。すなわち、「時間はすべてが一挙に与えられるのを妨げ⋯時間は遅延させる、というよりむしろ時間とは遅延である」(ベルクソン)からです。世界はつねに隔たりとして現れるのです。
世界が姿を現し、そしてまた消えていく。その息づかいを目で追う。〈世界〉に参与することを許されていると実感できるわずかな身振り、それが私にとっての写真なのです。
プロフィール
菊地 真之 / KIKUCHI Masayuki
横浜国立大学教育学部美術科卒業
京都芸術大学通信制課程美術科写真コース卒業
京都芸術大学大学院芸術研究科(通信教育)芸術専攻修士課程写真・映像領域 修了
個展
| 2024 | 「WOVEN」(Alt_Medium / 東京) |
グループ展
| 2025 | 「京都芸術大学大学院 写真・映像領域 修了生展」(同時代ギャラリー / 京都) |
修士論文
| 『〈いま-ここ〉を写す ─ 知覚の交差の場として ─』 |
Website
https://kikuchimasayuki.studio.site/
菊地真之 個展「Distance and Appearance — 隔たりと現われ —」
2026年1月16日(金)~1月21日(水)
12:00〜19:00 ※最終日17:00まで

