片山高志個展「EMPTY EMPIRE」

2017年11月2日(木)〜14日(火)

展覧会概要

現代社会の中では意味のないものが排除され、決まり切った価値観に沿った物事であふれている。個人による自律的で自由な思考は、あらかじめひかれたレールに沿うことを強いる社会の中で硬直していく。それはつまり、自らの問いに向かうことを忘れ、探求心や想像力を失っていくことと同義であろう。
わたしは常々、当たり障りのないありふれたイメージよりも、打ち捨てられたような風景や、誰も目を向けないような無意味な風景に触れた時に心が動かされる。

それは言葉にしがたく、とりとめのない光景ではあるが、言葉にならない新鮮な感覚を喚起させてくれる。そしてその光景は、誰でもが受け入れ安いようにお膳立てされたイメージとは決定的に異なる。

その私の中に起こった新鮮な感覚を、絵画という方法で表そうとすることは、伝統と様式にからめとられていくようであり、矛盾を感じざるを得ない。しかし、その矛盾にはあえて解を示さず、問を宙づりにしたままの状態を、絵画として表象したい。

−片山高志

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本展覧会「EMPTY EMPIRE」によせた文章において片山は、意識/無意識を問わず私たちを絡めとる制度や計画性からこぼれ落ちたかのように存在する風景への愛着を記している。

その言葉を具体化させたような、以前の展覧会にて発表された「parallel scenery」と題される作品群において、緻密に描き込まれた自然はある部分から、忘れられたように、もしくは、描く手を止めたように、その姿を消している。

近作においては、画中に白い矩形や黒い直線状の帯、そして別のイメージが上乗せされるように描かれることで、片山の絵画はより複層性を強めている。
それは現在の私たちにとって、もはや自然環境と呼ぶことも過言ではないような、モニター上に映し出された風景を思い起こさせる。

何も描かれていない空白の矩型は、私たちの視線や思考の内に、意識的/無意識的に存在する制度(フレーム)のメタファーであるかもしれない。
しかし、それだけではないのだろう。自然の中に「立てられた」白い支持体、それは絵画が何らかの計画性のもとに置かれざるを得ないことを示すとともに、いまだ描き得るものがあるということを、制度から外れた「余地」をこそ、描こうと試みているように感じるのだ。

片山の作品集には「somewhere other than here」と名付けられたものがある。
片山が絵画を描きつつ、同時に、描かれていない部分を残すとき、それはすでに確定された「here」から、未だ見えないが、しかし見ることは未だ可能であるはずの「somewhere」を希求しているのだろうか。

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プロフィール

片山高志 / KATAYAMA Takashi

1980年岡山市生まれ


個展

2016(fischiff VERLAG und KÜCHE / 東京)
「SOMEWHERE OTHER THAN HERE」(THERME GALLERY / 東京)
2013「何かの何かだと思ったけど、何の何でも無かった」(新宿眼科画廊 / 東京)
2012(ギャラリーAO / 神戸)
2010(十一月画廊 / 東京)
2009(GALLERY b.TOKYO / 東京)
(ギャラリーAO / 神戸)
2008(西脇市岡之山美術館 / 兵庫)
(ギャラリーAO / 神戸)
(GALERIA PUNTO / 岡山)
2007(GALERIA PUNTO / 岡山)
1999(room op8 / 岡山)

グループ展

2015「北極圏」(CfSHE Gallery)
「シブヤスタイルvol.9」(美術画廊 / 東京)
2014「Green Apple Museum-青リンゴが生んだ18のひらめき-」(SUNDAY ISSUE / 東京)
「Aquvii Art Ticket出版記念展示 」(横浜創造都市センターYCC / 神奈川)
「岡山朝日高校創立140周年記念美術展」(岡山県天神文化プラザ / 岡山)
「何も考えないで10年経ってた・・・」展(新宿眼科画廊 / 東京)
2013「しらはまっ」45組のアーティストが観た彼女(新宿眼科画廊 / 東京)
2012「アートの今・岡山2011-リズムのかたち-」(The Shape Of Rythm)
「 THE PHOTO / BOOKS HUB TOKYO 2012」
2011「VOCA展2011」(上野の森美術館 / 東京)
2010「アートフェア京都」(ホテルモントレ京都4階客室 / 東京)
「parapera show ∽ 」(CASHI – contemporary art shima / 東京)
2009「トーキョーワンダーウォール公募2009 作品展」(東京都現代美術館 / 東京)
「parapera show」(AISHO MIURA ARTS / 東京)
「gallerism2009 -画廊の視点-」(大阪府立現代美術センター / 大阪)
2008「池田満寿夫記念芸術賞」(東京、大阪)
「第1回岡山県新進美術家育成 I氏賞選考作品展」(岡山)
「第7回西脇市サムホール大賞展」(兵庫)
「サムホール入賞作家展」(西脇市岡之山美術館)
「前橋アートコンペライブ2008」(群馬)
「第五回U35・500人アーティスト小作品販売EXHIBITION」(神奈川)
2007「ACRYL AWARD 2006」(東京、大阪、神戸)
2006「第6回西脇市サムホール大賞展」(兵庫)
「ACRYL AWARD 2005」(東京、大阪、神戸)
「あさご芸術の森大賞展」
2005「第73回日本版画協会展」(東京)
「第5回国際ミニプリントビエンナーレ」(ルーマニア)
2003「あおもり版画トリエンナーレ2004」(青森)

受賞歴

2007「ACRYL AWARD 2006」秋山孝賞                   
2006「西脇市サムホール大賞展」大賞

レジデンス

Residence in Nordland in the town Bodo
2015年ノルウェーのボードーにて一ヶ月間滞在制作

パブリックコレクション

西脇市岡之山美術館 ターナー色彩株式会社


Website

http://www.takashikatayama.com/


片山高志個展「EMPTY EMPIRE」

2017年11月2日(木)〜14日(火)
12:00~20:00 ※水曜日休廊、最終日17:00まで


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東京都新宿区下落合2-6-3 堀内会館1F
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2-6-3, Shimoochiai, Shinjuku, Tokyo, 161-0033

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