展覧会概要
古野達也は「TIFF Open competition」(ポーランド)や「塩竈フォトフェスティバル2018 写真賞」にて特別賞を受賞するなど、近年活躍が著しい若手写真家です。
私たちは日常、事物をそれぞれ名付けられた(言葉によってフレーミングされた)ものとして、そして、それらの集合を世界として扱っているのではないでしょうか。そうした中で古野の作品は、カメラのフレームを用いて、そのような認識を中断し、世界を「見慣れない」ものとして出現させる試みともいえるでしょう。
そのためそこに写される事物の姿は、簡単に名付けられることを拒むかのような、どこか不安な在り方をしています。しかし、そのイメージは同時に、「見慣れた」印象から解放された、静けさにも似た新鮮さを湛えています。
写真というメディウムへのしたたかな思考を持つ作家の試みを、この機会にぜひご覧ください。
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『実 在』
見えているものと、感じるもの、二つによって生じた空隙が埋まらず、確かに見てはいるが、その実感を得られない時がある。
その状況に没頭していると、その空隙こそが、形のある生き生きとした存在のように感じられる。
見たものがそのものという事を超え、私を静かに揺さぶり続けるものを写真に捉えた。
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見ること、感じることの曖昧さへの関心が制作の動機となっています。
作品としてまとめてきた写真を見ていると、何かを発見した時のような喜びを感じます。
同時に、理解されることを拒むような有り様が、私を強く揺さぶります。
幸運にもそういった写真を得ることは、私が生活する世界を見つめ直す契機となります。
当たり前のように目にする物の中に、理解しがたい奥行きがある、そのコントラストによって、世界が新鮮なものとして目に映ります。
見えているものを当たり前とせず、ありふれた物こそ写真に捉えたいと考えています。
-古野達也
プロフィール
古野達也 / FURUNO Tatsuya
1981年福岡県生まれ
2004年熊本大学工学部 知能生産システム工学科 卒業
2010-2015年カロタイプ フォトワークショップ 白岡 順 講評講座 受講
受賞歴
2018 | 「TIFF Open competition」入賞(ポーランド) |
「塩竈フォトフェスティバル写真賞」特別賞 | |
2017 | 「TOKYO FRONTLINE PHOTO AWARD」入賞 |
2016 | 第15回「1_WALL」入賞 |
2015 | 第12回「1_WALL」入賞 |
2014 | 第11回「1_WALL」入賞 |
コレクション
フランス国立図書館(パリ・フランス)
出版物
2016 | IMA English edition Vol.1 |
IMA MAGAZINE Vol.15 “STEP OUT! vol.11” |
Website
古野達也 個展「実 在 / Being」
2018年9月16日(日)〜30日(日)
12:00〜20:00 ※水曜日休廊、最終日17:00まで