嶋田篤人個展「知る由」

2019年6月13日(木)〜18日(火)

展覧会概要

嶋田篤人は主に故郷である千葉県の房総半島を撮影し、一貫してモノクロームのオリジナルプリントを発表し続けています。
また、2013年ゼラチンシルバーセッションアワードでグランプリを受賞の後、隔年で開催されているゼラチンシルバーセッションのグループ展に参加するなど、精力的に活動している作家です。

Alt_Mediumにおいて3回目の開催となる本展覧会で発表するのは、嶋田にとって馴染み深い海岸での1日を撮影した作品です。
これまでの嶋田は故郷である房総半島には拘りながらも、被写体や時間、特定の地名といった制約を特には設けずに撮影してきました。
しかし、今回嶋田は「同じ海岸に一日いるとどんなものに出会えるのか?」という興味からあえてこのような制約を設けました。
その際、当初はその海岸で起こるであろう物語を定点観測的に撮影しようと思っていたものの、その海岸に立ち視点を持つ自分自身もまた海の物語の一部であると気づいた嶋田は、自身の意識の流れによる視線の変化でこの1日を表現するべきだと考えました。

幾度となく通った海岸の、その物語の一部として展開される嶋田の視線と意識の流れをこの機会にどうぞご高覧ください。

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まだ冷たい春の風が吹いていた。
2019年3月のある日、私は海岸にいた。
車の中、カメラを膝に乗せ、そしてアンパンを食っていた。
一日中、海岸で何かを待っていると様々な物語と出会う。
太陽が目に見えて動いていくこと。
雲の隙間から出た僅かな日差しが膝を温めること。
アスファルトに染みた水が乾いていく時間。
そこに流れつくモノ。
そこに辿り着く人。
おそらく毎朝散歩する老父。
遠くで聞こえた花火の音を空に探す人。
じっと風を待つ人。
そしてパラシュートの飛ぶ夕空。

私が今ここにいる由縁。
そこで知り得た世界の物語の断片。
そして私の知る由もない物語がたくさんある。
打ち寄せる波のように物語は繰り返し、だからこそ同じ物語は二度と起こりえない。
それらはある瞬間、海岸というサークルと、写真というサークルの中で触発し合うかのようだ。
遠くで聞こえた花火のように、そこに生じた目に見えない何かを、私は写真で捉えたい。

房総半島で写真を撮る。
私はここで写真を撮ることが好きだ。
九十九里浜の白里海岸。
都心から太平洋へ下ると、ここは私にとって外房への入口。
物語はまだ途中だ。
−嶋田篤人


プロフィール

嶋田篤人/Atsuto Shimada

1989年千葉県生まれ。
2011年東京工芸大学芸術学部写真学科卒業。
在学時より主に故郷、千葉県の房総半島を撮影。
モノクロームのオリジナルプリントを発表し作家活動を続ける。


個展

2018「待つ」(Alt_Medium / 東京)
2016「思わぬ壺」(Alt_Medium / 東京)
「堰を切らぬ廐」(PondGallery / 東京)

グループ展

2019The 10th Gelatin Silver Session(AXIS ギャラリー / 東京)
「FUJIFILM ACROS × 39 Photographers」(富士フイルムフォトサロン / 東京)
2017Gelatin Silver Session「GSS Photo Award」受賞者展
(富士フイルムフォトサロン / 東京)
The 9th Gelatin Silver Session(AXIS ギャラリー / 東京)
2015The 8th Gelatin Silver Session 撮り下ろし競作(AXIS ギャラリー / 東京)

受賞歴

2017「CANON GINZA presents SHINES」濱中敦史 選
2015「東川国際写真フェスティバル赤レンガ公開ポートフォリオオーディション」準グランプリ
2013「ゼラチンシルバーセッションGSS フォトアワード」グランプリ
2011「塩竈フォトフェスティバルポートフォリオレビュー」特別賞

嶋田篤人写真展「知る由」

2019年6月13日(木)〜18日(火)
12:00〜20:00 ※最終日17:00まで


【お問い合わせ】

〒161-0033
東京都新宿区下落合2-6-3 堀内会館1F
JR高田馬場駅徒歩7分(下落合二丁目歩道橋そば)
2-6-3, Shimoochiai, Shinjuku, Tokyo, 161-0033

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