片山高志個展「距離と点景」

2019年7月25日(木)〜 8月6日(火)

展覧会概要

片山高志による本展覧会「距離と点景」は2017年の「EMPTY EMPIRE」以来、Alt_Mediumでは2回目の個展となります。

 片山はこれまで顔を別のものにすり替えた群衆や、突然切り離され、浮かび上がるように現れる風景など様々なものを描き、常に鑑賞者に対し描かれる余地や、描かれなかった可能性を絵画によって指し示してきました。

 近年、白・黒、その他単色の上に写実的に描かれた空想の景色を描いていた片山が、新作では鮮やかな色彩が用いられているほか、その画面全体に散らされた様々な色の点や、流れ込んだ色は、片山の絵画における新たな局面を示しています。

 常にその様相を変化させながら、絵画を問い続ける片山高志の現在をぜひご覧ください。

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模型の表象—距離と点景展によせて

強固なスタイルを構築したかと思えば、次に現れるときには、すでに新たな意匠を編み出している。語ろうとする言葉の手をすり抜けるように、片山高志は制作を続ける。

 いま、片山の絵画には軽やかな色彩が導入されている。これまで片山の絵画が色彩を排してきたわけではない。しかし、現在の作品群に至るまでのそれは、重く画面を覆い尽くす単色以外の何かではなかった。そのこととは異なり、近作に見られる色は、そこに描かれる事物と緊密に結びつき、ある意味ではそれらに再現=表象としての姿を可能としている。

 しかしそのような色彩の導入が、片山の絵画において、ある種の素朴な自然主義への回帰を意味していないことなど、一目で判然とするだろう。土地や風景は、文字通り不自然に、あるところから先は切断されたかのように、描かれないものとして、描かれている。以前は無彩色で描かれていたそのような形式が、今度は色彩を伴いながら提示される。より大きなもののから切り取られた一部のような、または、より大きなものへの途上にも見えるその絵は、そのような意味において、描くことの限界と可能性を問いかける。そして同時に、模型の表象として、イメージのイメージとも呼び得るそれは、鋭く絵画そのものを指し示す。

 そのことを重ねて示し得るのは、近作のほとんどに見られる、画面に落とされた絵具による点であるだろう。大型の作品の表面を覆うとき、もはや滴と呼ぶよりもそれらは飛沫のように、均一な形を保ってはいない。奥行きをもたない全面的な点は、それらが並び置かれる一つの平面を暴き立てることで、透視図的に描かれたものが生じさせるイリュージョンに対して抗う。不動の消失点に向けて構成される強固な一つらなりの世界、その手前に、未だ描かれざる場所があることを明らかにする。

 その意味では、点とは片山がこれまでの作品で用いてきた、描かれたものに、これから描かれ得る可能性を胚胎したものとしての、描かれていない部分を挿入、接続する行為につらなるといえるのかもしれない。描くという行為に、ある意味では未来と呼ぶことも可能な、余地を見出すこと、それは片山の絵画において、重要な主題であり得るだろう。

篠田優(Alt_Medium)


プロフィール

片山高志 / KATAYAMA Takashi

1980年岡山市生まれ


個展

2017「EMPTY EMPIRE」(Alt_Medium / 東京)
2016(fischiff VERLAG und KÜCHE / 東京)
「 somewhere other than here」(THERME GALLERY / 東京)
2013「何かの何かだと思ったけど、何の何でもなかった」(新宿眼科画廊 / 東京)
2012(ギャラリーAO / 兵庫)
2010(十一月画廊 / 東京)
2009(GALLERY b.TOKYO / 東京)
(ギャラリーAO / 兵庫)
2008(西脇市岡之山美術館 / 兵庫)
(ギャラリーAO / 兵庫)
(GALERIA PUNTO / 岡山)
2007(GALERIA PUNTO / 岡山)
1999(room op8 / 岡山)

主なグループ展

2015「北極圏」(CfSHE Gallery・アーツ千代田3331 / 東京)
2014「Green Apple Museum青リンゴが生んだ18のひらめき」(SUNDAY ISSUE / 東京)
「Green Apple Museum青リンゴが生んだ18のひらめき」(SUNDAY ISSUE / 東京)
2012「アートの今・岡山2011リズムのかたち The Shape Of Rhythm」
(岡山県天神文化プラザ、高梁市歴史美術館、奈義町現代美術館 / 岡山)
2011「VOCA展 2011The Visions of Contemporary Art」(上野の森美術館 / 東京)
2010「アートフェア京都」(ホテルモントレ京都4階客室 / 京都)
「parapera show ∽」(CASHI / 東京)
2009「トーキョーワンダーウォール公募2009 作品展」(東京都現代美術館 / 東京)
「parapera show」(AISHO MIURA ARTS / 東京)
「gallerism2009画廊の視点」(大阪府立現代美術センター / 大阪)
2008「第1回 岡山県新進美術家育成 I氏賞選考作品展」(岡山県天神文化プラザ / 岡山)
「第7回 西脇市サムホール大賞展」(兵庫)
「サムホール入賞作家展」(西脇市岡之山美術館 / 兵庫)
2007「ACRYL AWARD 2006」(東京・大阪・名古屋)
2006「第6回西脇市サムホール大賞展」(西脇市岡之山美術館 / 兵庫)

受賞

2007「ACRYL AWARD 2006」 秋山孝賞
2006「西脇市サムホール大賞展」 大賞

レジデンス

2015Nordland Cultual Center (Bodo, ノルウェー)

パブリックコレクション

西脇市岡之山美術館、ターナー色彩株式会社


Website

http://www.takashikatayama.com/


その他

また、本作品はAlt_Mediumの会期終了後、2019年8 月10日(土)~21日(水)までPORT ART&DESIGN TSUYAMA(岡山県・津山市)にて片山の過去作を含めた展覧会にも出展されます。
 こちらでは展覧会のほか画家・児玉知己氏とのトークイベントのほか鍵盤奏者・木太聡のライブも開催されます。


片山高志個展「距離と点景」

2019年7月25日(木)〜 8月6日(火)
12:00〜20:00 ※水曜日休廊、最終日17:00まで

〔レセプションパーティー〕
7月27日(土)17:00〜 *予定


【お問い合わせ】

〒161-0033
東京都新宿区下落合2-6-3 堀内会館1F
JR高田馬場駅徒歩7分(下落合二丁目歩道橋そば)
2-6-3, Shimoochiai, Shinjuku, Tokyo, 161-0033

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