展覧会概要
自分の洗濯物の写真を撮るようになった。コロナ禍で生活が制限され視界が定まらない中で、生活の中でごく平凡で見過ごされる狭い風景、写真に撮られてはじめて気がつくようなモチーフに以前よりも目を向けるようになった。
洗濯は日々当たり前に行う家事の一つではあるが、晴れの日に行うそれは私にとって特別な行為に感じられる。陽の光と風を感じる瞬間は心地よく、衣類にはその日一日の時間の経過が蓄積されているように思える。
個人や家の生活様式に強く結びついた私的な存在であるにも関わらず、外に干されて人目にさらされることもある洗濯物は、私的な空間と公的な空間との間に漂うフィルターのようでもある。
洗濯物にはその衣類を洗い、干して、そして近い未来に取りこみにくる誰かの存在が感じられる。風雨にさらされてなお。誰かが生きている軌跡としてそこに洗濯物はある。言うなれば野ざらしの未来とでも形容するような、洗濯物が連想させる人間の生活のたくましさに私は魅了されて撮り続けている。
プロフィール
小林正彦 / KOBAYASHI Masahiko
1988年埼玉生まれ
日常的な被写体・生活体験に関わりのあるモチーフに対峙し「わかりやすく語り得ぬもの」を写真を介して観るものに想起させる作品を制作する。
展示歴
2024 | 「Laundry」(Alt_Medium / 東京) |
「Who Gives a Thought」(間 / 京都) | |
「APAアワード2024」(東京都写真美術館 / 東京) | |
2023 | 「生活史的風景」(gallery RooM / 埼玉) |
2022 | ボイスビジュアライズアプリ「yamabiko」展示(DOOROOM/ 東京) |
受賞
2023 | 「APAアワード2024」写真作品部門 入選 |
ワークショップ
2022 | サイアノタイプフォトグラムワークショップ(香音里 / 東京) |
Website
https://www.instagram.com/masahiko_kobayashi_88/
小林正彦 個展「Laundry」
2024年3月8日(金)~13日(水)
12:00〜19:00 ※最終日17:00まで