波多野祐貴 個展「接触と沈殿」

2025年2月28日(金)~3月5日(水)

展覧会概要

いつもの振る舞いを制限され、他者にも容易には会えなくなったことで、その頃のわたしは憂鬱な気持ちを抱えていた。ひとりになれる場所がほしくて、静かな場所の古い家屋の中に小さな部屋を借りた。それはひどく寒い季節が始まる頃の話で、次の寒い季節が来るまで続いた。ここに並ぶのはその部屋を訪れてくれた人物、そして同じ時期に出会った風景と事物のポートレイトである。

部屋の訪問者たちとは初対面で、まずは挨拶を交わし、穏やかな雰囲気の中で撮影が始まる。そこには少しばかりの緊張と居心地の悪さも交じっていただろう。撮影のあいだも色々な話をする。まるで短い物語を聞くかのような時間もあった。しかし誰かのことを思い出そうとする時に思い浮かぶのは、耳底に沈む声の響き、瞬きひとつで移ろう表情の行方、あるいは窓から差し込む光が床の表面に残す、体温にも似た温かさだ。それらはあまりに微細な事柄で、曖昧で、日常生活の中で掻き消されてしまう他者の感触を含んでいる。必ずしも写真に記録されるわけではないそれらが、見る人の中で呼び起こされたら良いと思う。


プロフィール

波多野 祐貴 / HATANO Yuki

2009年 同志社大学文学部英文学科卒業
2018年 勇崎哲史氏主宰 写真ワークショップ「FRAGMENTS 6」参加


個展

2022「隠れてはない 見えていないだけ」(PHOTO GALLERY FLOW NAGOYA / 名古屋)
「接触と沈殿」(STUDIO TSUKIMISOU / 京都)
2021「Call」(TOTEM POLE PHOTO GALLERY / 東京)
2020「Call」(gallery 176  / 大阪)
「Unveil」(gallery 176  / 大阪)

主なグループ展

2020「2019年度 ヤング・ポートフォリオ展」(清里フォトアートミュージアム / 山梨)
2018「FRAGMENTS 6」(沖縄県立博物館・美術館1F県民ギャラリー / 沖縄)

受賞歴

2021第24回写真「1_WALL」審査員奨励賞 小原真史氏選  
2020第22回写真「1_WALL」審査員奨励賞 姫野希美氏選  
第1回 THE BACKYARD主催PITCH GRANT  ファイナリスト

パブリックコレクション

清里フォトアートミュージアム


波多野祐貴 個展「接触と沈殿」

2025年2月28日(金)~3月5日(水)
12:00〜19:00 ※最終日17:00まで

【お問い合わせ】

〒161-0033
東京都新宿区下落合2-6-3 堀内会館1F
JR高田馬場駅徒歩7分(下落合二丁目歩道橋そば)
2-6-3, Shimoochiai, Shinjuku, Tokyo, 161-0033

TEL:03-5996-8350
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