
展覧会概要
本展は、2023 年より制作を続けている“四角い草原”より抜粋したものを展示する。
作品“四角い草原”とは、人による介入がある場所とそうでない場所の間にある空間もしくは変移していく場所に着目し、外来種植物のように“自然と人間の間で浮遊する”存在が曖昧な物体や空間を撮影することで、人間と自然の間を常に移動し続け、“ふるさと”がない自身の立ち位置を表現している。
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「四角い草原」
ある日、道路の脇で小さな草花のなかにある、大きな植物が目が留まった。
周囲に咲いている花々とは異なるその姿に、強い違和感をおぼえると同時に、なぜか自分自身を見ているような気がした。
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子供の頃に、小さな町に住んだことがある。
人口300 人ほどの小さな町には、空き地と畑が点在しており、町の輪郭が時間をかけてゆるやかに消えていくようだった。
畑や空き地の側には、外来種の植物たちが咲いている。
それらは土地の文脈から外れた存在であり、駆除の対象でもあった。
対象となるものは、種類を問わないことを身をもって知ることになる。
何年経ても、自分の中に土地の文脈が芽生えた感覚はなく、その地を離れる日になっても、私はよそ者のままであった。
いくつかの町で過ごした日々、私がいた痕跡は雪に埋もれるように時間とともに消えていくばかりで、大人になった今も、私の“故郷”と呼べる場所を見つけることができなかった。
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早朝、雪が積もった庭にキツネの踏み跡が残されている。
波のようにうねるそれは不確かな自然と人の領域をなぞるようだった。
自然と人との間にはいつも荒れ地がある。どちらにも属さず、ただそこに存在し続けるそれは、かつて人によって管理された土地だった。
土地が放棄されることは、自然と人における秩序から外れることを意味し、やがて虚となる。
構造物によって区切られた虚の中では、植物が花を咲かせる場所を求めて放浪し、動物もそれに応答するかのように移動することで、領域が絶えす変化している。
在来種も外来種も存在するその場所では、人も自然も排除した、新しい秩序を作り出していた。
プロフィール
原 愛花 / HARA Aika
北海道出身
2024 年 京都芸術大学通信教育部 美術科 写真コース編入
北海道道東地域を中心に写真活動を行う。
グループ展
| 2023 | 「HOKKAIDO PHOTO FESTA ファイナリスト選抜展」(GallaryESSE / 北海道) |
受賞歴
| 2022 | HOKKAIDO PHOTO FESTA2022 ファイナリスト |
https://www.instagram.com/hara_ai_ka
原 愛花 個展「四角い草原」
2026年5月15日(金)~5月20日(水)
12:00〜19:00 ※最終日17:00まで

