展覧会概要
qpは2000年代中盤より活動を始め、初期はイラストレーションと美術の世界を並行して作品発表を行ってきたが、現在はおもに画家として制作を行っている。
去年、7年ぶりに開催した個展「セルヴェ」(パープルームギャラリー)では、デジタル移行前のアニメのセル画にヒントを得た手法を用い、アール・ヌーヴォーの曲線感覚ときらめく玉を融合させた作品を発表した。
今回発表する作品は、セル画の手法を一旦保留し、また新たな手法が模索されている。
制作された作品は大きく2種類に分けられ、ひとつは自然に委ねて作られた造形が画面を埋める装飾性の強いシリーズ、もうひとつは雲と太陽の関係を描いたシリーズである。
前者は、溶かした水彩絵の具を紙の端から流し込み、そこに生まれた余白に着色するという独特の手法で、意図しない形に意図した色を塗ることで作品化している。
この手法は、二重に流し込むことでさらに細かな余白を作る方法へと発展させているが、そこから生み出される図像は、単なる模様というよりもときに何らかの意味も感じさせる。
後者の雲と太陽の関係を描いたシリーズは、前者から派生して生まれた作品群である。
同じように完全にコントロールされないよう水彩絵の具を紙に流し、そこから出来た形を雲に見立て、隙間から太陽が覗くという絵である。複雑な色合いや滲みなどの効果が作り出されている場合もあり、どこか叙情的な雰囲気も持ち合わせている。
これらの作品は、どれも手のひらに乗るようなごく小さなサイズであり、親密な印象を与える。
今回の個展に合わせ、DOOKS発行による作品集「明るさ」と、sign and room発行による「メイキング 明るさ」の二冊を同時刊行する。
プロフィール
qp / キューピー
個展
2020 | 「明るさ」(Alt_Medium / 東京 |
2019 | 「セルヴェ」(パープルームギャラリー / 神奈川) |
2012 | 「私たちは夜です」(Black bird White bird / 京都) |
2011 | 「残す」(はちどり / 東京) |
2010 | 「頭部について」(東中野徒歩一 / 東京) |
2008 | 「灯台へ」(新宿眼科画廊 / 東京) |
2007 | 「それを見ている」(ガーディアン・ガーデン / 東京) |
他グループ展多数。企画した展覧会に「べつの星」(UTRECHT NOW IDeA / 東京)がある。
Website
qp個展「明るさ」
2020年6月18日(木)〜6月30日(火)
12:00〜20:00 ※水曜日休廊、最終日17:00まで