展覧会概要
鈴木は1981年福井県生まれの写真家で、2008年に大阪ビジュアルアーツ専門学校写真学科夜間部を卒業。
これまで自身の体験とその外側にある世界を交差する〝内と外の境界線〟を感じさせる作品や、目の前に実在する対象を通して、その向こう側に見えてくる〝かつてその場所に在ったであろう記憶の痕跡や残像〟のようなイメージを撮影し、写真作品に投影してきました。
そんな中鈴木は、作品をつくり続けていく上で、自分にとって真実や大切なものは何かという疑問を抱くようになります。東京から故郷である福井に拠点を移す事をきっかけに、その問いを探る為、実験的にiPhoneのカメラで自身の身の周りの出来事を撮影し続け、Instagramのアカウントに〝Debris(破片)〟というタグをつけて写真を蓄積していきました。
2019年にその束を編集した写真集「Imitation Bijou」をDOOKSより刊行し、今回展示する作品はその写真集から選んだ写真になります。
タイトルの「Imitation Bijou」は、「模造宝石(本物に似せてつくられた宝石)」という意味を持ちます。
それは〝模造〟と提示したものに価値を与える相反する意味と、「たとえ誰か(他者)にとって偽物と思うものであっても、自分(個人)にとっては真実で価値があるもの。本当のことは、私達個人それぞれが見つめている世界でしか計ることができないもの。」という作者が写真を撮り続けてきた中で得た意志も含んでいます。
他者の目から見て価値のあるものが自分の価値にすり替わっている、個人軸の輪郭が曖昧になってきているこの世界に対しての、抵抗と挑戦なのかもしれません。
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Imitation Bijou
大切なものを手に入れたくて写真を撮り続けていたら、
私達には本当の名前なんてない事に気が付いた。
あなたは、暗闇の中で鈍い光を放ちながら確かにそこに存在している。
その価値を決めるのは他の誰でもない、自分自身なのだと伝えたい。
私は宝石を拾い集めて手の中にしまっては、時々愛おしく触っている。
プロフィール
鈴木敦子 / SUSUKI Atsuko
1981年福井県生まれ
2008年ビジュアルアーツ専門学校大阪 写真学科夜間部 卒業
個展
2019 | 「Imitation Bijou」(CANDLE CAFE Laboratory/東京) |
2015 | 「眩暈」(Prinz / 京都) |
2013 | 「red letter」(Calo Bookshop Cafe/Calo Gallery / 大阪) |
「red letter」(森岡書店 / 東京) | |
2010 | 「夜明けまえ」(企画ギャラリー明るい部屋 / 東京) |
グループ展/イベント
2017 | 「dix vol.02」(QUIET NOISE arts and break / 東京) |
2015 | 「東川アーティストインレジデンス作品展」 (北海道東川町 / 北海道、赤レンガ倉庫 / 神奈川) |
2014 | 「旧秋山邸アートプロジェクト」(北海道東川町) |
2012 | 「ヨコハマフォトフェスティバル」(ヨコハマ赤レンガ / 横浜) |
2008 | 「エプソンカラーイメージングコンテスト受賞作品展」 (青山スパイラルガーデン / 東京) |
受賞
2017 | 第16回写真「1_WALL」入選 |
2012 | 第6回写真「1_WALL」入選 |
2008 | 「エプソンカラーイメージングコンテスト 写真部門」 入選 |
アーティストインレジデンス
2015 | 「東川アーティストインレジデンス」(北海道東川町) |
収蔵
東川町文化ギャラリー(北海道東川町)
Website
その他
鈴木敦子 写真展「lmitation Bijou」のために事前に行われた、作家と菊田樹子による対談記事です。
鈴木敦子 写真展「lmitation Bijou」インタビュー
鈴木敦子 写真展「lmitation Bijou」
2021年3月18日(木)~30日(火)
12:00〜20:00 ※水曜日休廊、最終日17:00まで