展覧会概要
写真家の岩崎美ゆきは東京を中心に活動し、近年は新作による展覧会の開催を着実に重ねています。
本展覧会は2019年の「この海は、泳ぐためではありません」から数えて3回目にあたるAlt_Mediumでの個展となります。
岩崎の作品はデビューより一貫して、直裁に風景を写しとる硬質なストレートフォトグラフィーによって構成されています。深い被写界深度で撮影された写真は、画面の隅々までピントが合うことにより、かえってそれを見る者の眼差しを画面上に彷徨わせるようです。
また同時に、そのようにして撮られた岩崎の写真には、耳目を集めて特別に名指される土地や景観というよりも、普段には人々が何気なく通過してしまうような光景が写し留められています。
本展覧会に寄せた文章からもわかるように岩崎は、写真が作者の内的なイメージの等価物へと収斂されることに抗い、それらを一種の開放的な「場」のようなものとして存在させることを試みているのです。
平明でありながら、それゆえに言葉しがたい深みを感じさせる写真群をこの機会にぜひご覧ください。
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見えているのに理解できないものへの畏怖。
見えているのに意識にのぼらず、見えていない光景。
見せることで支配しようとするイメージの陳列。
見えることとは支配できることではない。
見せることも同様に、他者の感覚や感情をコントロールできることではない。
昨今の色々なことに、少しうんざりしている。
遠くから眺めるだけでも、足を浸すだけでも、泳いでも潜ってもいい。もう来なくても、また来てもいい。
感覚と感情を自由に遊ばせることが出来る、写真はそんな自由さがあったのではないか。
− 岩崎美ゆき
プロフィール
岩崎美ゆき / IWASAKI Miyuki
看護師として勤務しながら、武蔵野美術大学映像学科入学。在学中に写真を始める。
個展
2020 | 「My Garden(2015-2020)」(Alt_Medium / 東京) |
2019 | 「この海は、泳ぐためではありません」(Alt_Medium / 東京) |
グループ展
2018 | 武蔵野美術大学 平成29年度卒業制作・修了制作優秀作品展 |
2017 | 町田市立国際版画美術館インプリントまちだ展2017(映像と写真による参加) |
受賞
2018 | 武蔵野美術大学卒業制作優秀賞受賞 |
2017 | 第17 回写真1_WALL 審査員奨励賞(増田玲選) |
Website
https://mi-iwasaki.tumblr.com/
https://www.instagram.com/miyuki_iwasaki_w/
その他
岩崎美ゆき個展「折りたためる海」のために事前に行われた、岩崎美ゆきと篠田優によるインタビュー記事はこちらでお読みいただけます。
岩崎美ゆき個展「折りたためる海」インタビュー
【記事】
岩崎美ゆき 写真展「折りたためる海」
2021年11月18日(木)~23日(火)
12:00〜20:00 ※最終日17:00まで