なるめ 個展「オルタナ」

2022年8月5日(金)~8月17日(水)

展覧会概要

なるめはピクセルアートの手法を用いる作家であり、1ピクセル幅の線にこだわった切れ味のいい輪郭やポップなキャラクター、鑑賞者の心に訴えかける情景が特徴の作家です。

なるめの作品の多くはデジタルイラストであり、ミュージックビデオへのイラスト提供や電子コミックなど、いずれもがディスプレイで鑑賞することができます。しかし、それらはデジタル作品でありながらリアルの場で鑑賞することでしかその魅力を十二分に体験することはできない不思議な作品となっています。

ディスプレイ上で作品の細部を見るためには作品を俯瞰的に見ることと引き換えに拡大しなければなりません。なるめの作品は、そこに描かれた情景はもちろんのことですが、それを構成するドットの美しさも大きな魅力であり、リアルの場に現れた作品は「木を見て森を見る」ことが出来ないデジタル空間とは全く異なる鑑賞体験を見るものに与えるのです。

なるめの個展は2021年12月より8か月振りとなりますが、その間の様々な制作や漫画連載を通じ、その作品は着実に進化しています。これまで「ピクセルアートの枠」を意識しピクセルアートの作法を「守」ってきたなるめですが、この度の個展では自身の表現したいイメージにより近づくための手法の選択を通じ、「破」のステージに進みつつあるようです。

これまでの作品ではピクセルアートのセオリーに従い整然と並んでいた美しいドットも、今個展の作品ではそのセオリーから外れて見えるかもしれません。しかしそれは「そう描きたかった」なるめの強い意志の裏返しに他なりません。

遠くない将来「離」のステージに進むであろうなるめの現在地を、ドット絵だから素晴らしいわけではないなるめの世界の美しさを、ぜひご覧ください。

− CRATERS

===

わたしはこの数年、自分の作品は『正しいピクセルアート』でなければならないという考えに囚われることが多々ありました。客観的に見ればわたしの絵はピクセルアートの中のひとつとしてカテゴライズされるためです。わたしが作品を発表するとき、多くはその技法に着目されます。「ピクセルアートだからすごい。」「ドット絵だからすごい。」わたしは制作の中でそのカテゴリの中に存在することを求められ、それに応えようとしてきました。

しかしもとを辿れば、わたしはお絵かき掲示板をルーツにピクセルアートを描き始めたのです。お絵かき掲示板には、1ピクセルの線もアンチエイリアスのかかった線も、エアブラシもぼかしツールもありました。そこでは各々、自分の描きたい絵を自分の表現したいものに合わせたツールを選択し描いていました。わたしは自身の制作の中で、大切なのは技法ではなく何を表現したいのかということ、1ピクセルの線もエアブラシもただの選択肢のひとつであり、『正しいピクセルアート』だけが正解ではなかったということを思い出しました。

「オルタナ」というタイトルには、ピクセルアートという技法とその文化への敬意と、それに囚われることなく自身の目指す表現に最適な選択肢を用いて制作していきたい、という思いが込められています。

− なるめ


プロフィール

なるめ / Narume

北海道出身・武蔵野美術大学卒。イラストレーター、漫画家。

自身の体験をもととした”記憶の中の景色”をテーマとして、お絵かきBBSやPC98のドット表現を基としたイラストやアニメーションを制作しています。曖昧で不確かで、時には形が変わって、でも確かにどこかに存在する。自分の、あるいは誰かの記憶に重なる景色を描いていきたいです。


なるめ 個展「オルタナ」

2022年8月5日(金)~8月17日(水)
12:00〜20:00 ※木曜日休廊、最終日17:00まで

開催協力:合同会社YUCATAN Utilities


【お問い合わせ】

〒161-0033
東京都新宿区下落合2-6-3 堀内会館1F
JR高田馬場駅徒歩7分(下落合二丁目歩道橋そば)
2-6-3, Shimoochiai, Shinjuku, Tokyo, 161-0033

TEL:03-5996-8350
MAIL:inquiry@altmedium.jp