展覧会概要
新山清は1911年、愛媛県に生まれました。1969年に不慮の死を遂げるまで、戦前から戦後を通して充実した写真作品の発表を続けていました。近年でもさまざまな場所でその作品を観覧できる企画が設けられており、新山清が残した写真群への関心はますます高まっているということができます。
Alt_Mediumにて開催される本展覧会では、新山清が戦後の約7年間に、故郷である愛媛県の松山で撮影した写真群を出陳いたします。
新山清の子息であり、その写真アーカイブを管理する新山洋一氏は、本展出陳作を「松山時代」と呼び、そこにあらわされた屈託のないまなざしにとりわけ愛着を持っていると語っています。現在では主観主義写真の代表的な実践者としても知られる新山清ですが、松山時代の諸作からは、美的な趣味判断のみにとどまらず、その土地の様子やそこに生きる人々の営みを率直に記録することへの関心が窺われます。そのことは、もしかしたら、さまざまな破壊や喪失によって塗り込められてしまった戦争という時代の経験、そして、そのような状況からついに解放されたことへの喜びによって、裏打ちされていたのかもしれません。
この機会にぜひご高覧ください。
協力
新山洋一(コスモスインターナショナル)、金柑画廊/キンカンパブリッシング
プロフィール
新山 清 / Kiyoshi Niiyama
1911年愛媛県生まれ。東京電気専門学校卒業。1935年に理化学研究所に入社。1936年、パーレットカメラ同人会のメンバーとして写真家活動を開始し、作品を多くのサロンや国際的写真雑誌に発表。ロンドン・パリのサロンで数点が入選、雑誌アメリカン・ポピュラーフォトグラフィー、フォトモンドのコンテストに入選。その後、全日本写真連盟や東京写真研究会での活動を通して日本のアマチュア写真家育成に携わる。1958年に旭光学に入社し、東京サービスセンター所長に就任。1969年5月逝去。1950年代に“Subjektive Fotografie”(主観主義写真)を提唱したドイツ人写真家のオットー・シュタイナートによって広く世界に知らしめられ、現在も国内外で評価されている。
国外での主な展覧会
2008 | 「Otto Steinert Kiyoshi Niiyama」(Kitcken Gallery / ベルリン,ドイツ) |
2006 | 「変貌」(Monochrome Gallery / ベルリン,ドイツ) |
主な出版
2022 | 『干潟にて』(キンカンパブリッシング) |
2015 | 『朝顔』(Kitcken Berlin, ベルリン) |
2010 | 『新山清の世界』ソルントン時代 1947~1969 |
2008 | 『新山清の世界』パーレット時代 1937~1952 |
1970 | 遺作集『木石の詩』 |
パブリックコレクション
Museum Folkwang(エッセン,ドイツ)
Website
その他
新山清 写真展「松山にて」 のために事前に行われた、新山洋一さんと篠田優によるインタビュー記事はこちらでお読みいただけます。
新山清 写真展「松山にて」インタビュー
上記のほか、篠田が執筆した「特別編 −松山時代の新山清」もございます。
こちらもよろしければぜひご覧ください。
新山清 写真展「松山にて」【特別編 −松山時代の新山清】
https://note.com/alt_medium/n/n32794fd23c2e
新山清 写真展「松山にて」
2023年6月16日(金)~28日(水)
12:00〜19:00 ※木曜日休廊、最終日17:00まで