展覧会概要
菅泉亜沙子は東京を拠点に活動する写真家です。
本展覧会は2018年以降、Alt_Mediumにおける3回目の個展となります。
菅泉の写真群は特定の被写体や撮影地に捉われることなく、自らに縁を持たない土地を歩き続けることによって生み出されています。しかし同時に、いくら遠く見知らぬ場所へ移動したとしても自身が既に属している社会規範から逃れらないこともまた、菅泉は作品を語る際には強調しています。
それでもなお、撮影したものたちが、制作を通じて像として浮き上がった時、既知の世界を超えて、新たな視座を拓く兆しとなるような感覚を受けることがあると菅泉は述べています。
地道な歩みが持つ力強さと、瞬く光をとらえる繊細さを併せ持つゼラチンシルバープリントをぜひご高覧ください。
− Alt_Medium
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撮影地はなるべく普段の生活から縁遠い場所を選ぶ。知らないところへ行くことは自身を取り囲む社会にとらわれることを回避し、自らが知覚する世界を客観的に見つめかえすためだ。
今ここにある光景はいつから存在していたのだろうか。私が立ち去った後も誰かの目に留まり、そこにあり続けるのだろうか。しかし、太陽が動けば影のかたちは変わり、何者かによって、あるいは風とともににその場所から去るものもあるだろう。私はその一瞬の光景をフィルムに写し止め、印画紙に焼き付け、じっくりと見返す。モノクロームの画像には陽の光に照らされた被写体のかたちが顕となっている。
いくら遠く見知らぬ場所へ移動したとしても自身が社会規範から逃れらないことは理解している。写されているものの正体をすでに認知しているものとして判断していることも自明である。それにも関わらず、写真に現れた像が私の知覚していた世界を超越してくるときがある。その体験は新たな視座を得るための兆しとなる。
− 菅泉亜沙子
プロフィール
菅泉亜沙子 / SUGAIZUMI Asako
1990年宮城県生まれ
2013年東京工芸大学芸術学部写真学科卒業
個展
2018 | 「風が吹き、土に着く」(Alt_Medium / 東京) |
2017 | 「かつて、まなざしの先に」(Alt_Medium / 東京) |
グループ展
2019 | 「写真集をつくる展」(nap gallery/東京) |
2016 | 「倉敷フォトミュラル f 個展部門」(倉敷アイビースクエア内アイビー学館 / 岡山) |
「AXIS フォトマルシェ 3」(AXIS Gallery / 東京) | |
「viewing―写真家とポートフォリオ―+鋭漂」(塩釡フォトフェスティバル / 宮城) | |
2015 | 「F」Film Format Photo Exhibition」(ギャラリールデコ / 東京) |
「AXIS フォトマルシェ 2」(AXIS Gallery / 東京) | |
2014 | 「F」Film Format Photo Exhibition(ギャラリールデコ / 東京) |
第 4 期山崎塾「11×14 Fine Prints Session」(pippo / 東京) | |
2013 | 「新進気鋭のアート写真家展」(倉敷フォトミュラル / 岡山) |
「三善チヒロ / 菅泉亜沙子 写真展」(リブロ池袋 / 東京) | |
「Emerging Photography Artist 2013」(インスタイル・フォトグラフィー・センター / 東京) |
受賞
2020 | 「PITCH GRANT」ファイナリスト |
パブリックコレクション
東京工芸大学
菅泉亜沙子 写真展「光芒の兆し」
2023年10月27日(金)~11月8日(水)
12:00〜19:00 ※木曜日休廊、最終日17:00まで