2025年4月23日
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2025年4月23日
これまで風景を描いてきました。それは旅先や日常で惹かれた風景(月山で見た池塘(ちとう)や、雪が降った公園など)を元にしていました。そのほかに、ある状況(例えば、木が描かれた屏風の後ろに本物の木があり、前に人がいる場面)を繰り返し描くうちに、形が変わっていき風景が見えてきたこともありました。いずれも、何度も描くうちに元の風景は変容していきました。
今回の個展では、キャンバスと紙に描いた絵を展示します。
キャンバス作品では、手のひらほどの紙に描き、筆跡となったにじみやかすれを、サイズを拡大して描きました。紙と画布のしみこみには差があるために、紙では現象として自然に現れても画布では自然に起こらない筆跡を、移動させるように描くことになります。その移動において、2つが似ながらもずれていく中で、筆跡の形に体/ボディを持たせるように絵具を重ねながら、未知の風景を探っています。
紙作品のほとんどは、この冬制作したもので、両手のひらほどの大きさの紙に描きました。描いてみると、月山の大きな水たまりと、幼い子の後頭部はともに、まるく広がる風景でした。今まで風景に体を持たせるように描いてきたけれど、体もまた同じく風景のように描けたら良いと思いました。
2025年4月22日
⽵堂史嗣は、メディアに映し出されるイメージの虚実をめぐる視覚体験をテーマに、作品を制作してきた写真家です。活動開始から“⼤量に写真を⾒せる”というスタイルを続けており、2024年の展覧会からは映像作品の発表へと活動の幅を広げています。
本展覧会「YOUʼRE A BUFFER HERE|EMISSION」は、2025年3⽉に開催した展覧会「Youʼre a Buffer Here」(Cave_R / 東京)の延⻑線上の試みで、写真と映像を組み合わせた構成になっています。
本展覧会の軸となる映像作品は、2024年に発表した既存作に加え、新作2本を上映。⾼速で移り変わるストリートスナップのスライドと、都市⾵景の映像、古い映画の複写をレイヤードしたシリーズは、意識と無意識の反復、虚実⽪膜を誘発します。
さらに、前回の展⽰からは“更紙”を写真のプリント⽤紙に使⽤。2024年は⽉に⼀冊のアーティストブック制作を半年間続けており、その際にも主に更紙を⽤いていました。更紙は安価なので⼤量印刷に適しており、ブック制作ではテストプリントやミスプリントを多く⽣む⼀⽅で、低コストかつ低品質故にミスプリントが出来てしまうことに抵抗を感じないという特性があります。これは、画⾯に映し出される透過光の像を眺めている感覚に近いと⾔えるかもしれません。
昨年の映像作品の発表、そしてブック制作という活動を通して「YOUʼRE ABUFFER HERE」という展覧会が構想されていきました。映像と写真が繰り返すイメージの⽣成と消失。その間で鑑賞者がどのようにイメージを媒介するのかを⾒つめ直す試みでもあります。
2025年4月21日
展覧会概要 片柳拓子は、都市におけるモノの存在とその表層をテーマに、作品を制作してきた写真家です。2021年に開催された「possession」(IG Photo Gallery / 東京)より発表を開始し、今年で5年目を迎えます。 本展では片柳が2021年を皮切りに現在も継続する縦位置・カラーで構成された写真群を《possession》シリーズと位置付け、その最新作「Woofer」を展示します。
2025年4月20日
展覧会概要 久保田智樹は、自身の故郷である足尾銅山の情景を長年にわたって写真に収めてきた写真家です。2008年より足尾での撮影を重ね、2022年には初の個展「ASHIO」(IG Photo Gallery / 東京)を開催。本展は、それに続く二度目の個展となります。 写真家・橋口譲二氏は「心は競争ではないのだから、表現は競争ではない」という趣旨のことを語っており、それは久保田の制作活動において大切にしてきたことの一つです。内なる視点から、久保田は足尾という場所を見つめ、自身の写真のあり方を考えてきました。 今回の展示は、初期の作品である2008年と2009年に記録された写真によって構成されています。今後、数年分ごとの作品を順次展示していく予定です。 かつて東松照明をはじめとする写真家たちが足尾を訪れ、その光景をカメラに収めました。久保田が自身の故郷を写真の主題として捉え始めたのは、そうした時代の熱気が過ぎ去り、足尾への人々の関心が薄れて久しい頃のことです。久保田の意識に深く刻まれた情景の一つに、鈴木清の写真集『修羅の圏』(私家版、1994年)に描かれた足尾の姿が […]
2025年4月19日