2016年10月30日
展覧会概要 瞬間の彼方には永遠があって、僕はその永遠を描写する。- 山口和也 === -着火したその瞬間、画面の隅々にまで眩い光が駆けめぐる、と作者は語った。特別に作り出された花火によって金属の輝きをもつ支持体の上に一瞬にしてイメージを描き出す。作者は幾度かの経験によって、この手法により形成されるイメージを予測することができるのかもしれない。しかしどれほど経験を積もうとも、作者の「手」が及ばない領域が最後には残るだろう。そこにおいて作者は「あらわれるもの」を待ち望むしかない。決して物の写しとしてのイメージが形成されているわけではない。しかしその光の瞬きの痕跡とも呼べる絵画は、どこかWilliam Henry Fox Talbotが自著に冠した「自然の鉛筆」という言葉を思い起こさせる。 山口和也の「Eternal trace」という一群の作品の中に「Flowers」と名付けられたものがある。花火には欠くことのできない導火線がここでは植物の葉や茎のような姿を見せ、その先にある鮮烈な色彩もまた夜空に咲く大輪のようである。そのイメージに瞬間とエネルギーによって花開いた生のあらわれを見るとき、こ […]