2017年11月14日

片山高志個展「EMPTY EMPIRE」

展覧会概要 現代社会の中では意味のないものが排除され、決まり切った価値観に沿った物事であふれている。個人による自律的で自由な思考は、あらかじめひかれたレールに沿うことを強いる社会の中で硬直していく。それはつまり、自らの問いに向かうことを忘れ、探求心や想像力を失っていくことと同義であろう。わたしは常々、当たり障りのないありふれたイメージよりも、打ち捨てられたような風景や、誰も目を向けないような無意味な風景に触れた時に心が動かされる。 それは言葉にしがたく、とりとめのない光景ではあるが、言葉にならない新鮮な感覚を喚起させてくれる。そしてその光景は、誰でもが受け入れ安いようにお膳立てされたイメージとは決定的に異なる。 その私の中に起こった新鮮な感覚を、絵画という方法で表そうとすることは、伝統と様式にからめとられていくようであり、矛盾を感じざるを得ない。しかし、その矛盾にはあえて解を示さず、問を宙づりにしたままの状態を、絵画として表象したい。 −片山高志 === 本展覧会「EMPTY EMPIRE」によせた文章において片山は、意識/無意識を問わず私たちを絡めとる制度や計画性からこぼれ落ちたかの […]