2018年12月2日

嶋田篤人個展「待つ」

展覧会概要 嶋田篤人は第一回GSS フォトアワードでのグランプリ受賞をはじめ、近年目覚ましい活躍をみせる写真家です。モノクロームの銀塩写真のみを用いたその作品は、徹底して削ぎ落とされた形式でありながら、豊かな意味を喚起させます。そして、単に美的な階調表現に留まることのないそのイメージは、写す者と写されるモノが互いを触発しあうような関係性を、観る者に感じさせます。嶋田が、静けさを湛えた印画によって提示するその試みは、自己と世界への探求と言い換えることも可能でしょう。 この機会にぜひご覧ください。 === その旅路、私は何かに出会うことを待っている。房総半島で写真を撮る。私はここで写真を撮ることが好きだ。半島の終わりある道や、歩いては行けない海、佇むモノたちはまるで年輪を重ね待っているように見える。私は立ち止まる。私を立ち止まらせたものは何か。絶対的な存在感でいて、しかし何者でもない何か。ファインダーを覗き、それが再び現れるのを待つ。「待つ」は「祀る」の由来という説がある。シャッターの裏側、フィルムは露光を待ち、潜像が現像を待つ。ファインダーで見えているモノの向こう側に何かが見えた時、私は […]