2019年12月15日
展覧会概要 長田果純はフォトグラファーとして、様々なジャンルで活躍する中、作品を発表する度に新しい一面をのぞかせてきました。 ありふれた日常でありながら、夢想的で、「ここではない遠い場所」を想起させる写真たち。水面に広がる波紋のような静けさを宿していながらも、そこには感情の機微や温もりが確かに存在していることから、長田が何を軸に撮影してきたかが伝わってくるでしょう。 本展覧会で約3年半ぶりに発表される「平凡な夢」は、彼女がある時から体感するようになった〈浮遊感や離脱する感覚〉そして〈自分を“もう一人の自分”が見ているような感覚〉がきっかけとなり、集積された体験が具現化されて、ひとつの作品群として誕生しました。 長田はこの感覚を「まるで現実の世界が、終わりのない“平凡な夢”のように感じられた」と表現しています。彼女にとってこの時期は、靄(もや)がかったような、深い霧の中をさまよい続ける絶望的な時間でしたが、そうした夢現の精神の渦中で撮影された写真は、どこまでも純心な美しさを帯びたものでした。 そして、これまで疑うことなく続けてきた「写真を撮るという行為」が、改めて自分を救済してくれたと、 […]