2024年6月5日

成子祐子 写真展「鏡の盾と平均台を征く」

不確実な世の中を歩き続ける為には自分を守る強靭な盾が必要だった。 だが私が手に入れたのは、鏡のように美しくも脆い盾だった。 自分を守る武器でありながら、自分自身の弱さや未熟さやあらゆるものを映し出し、容赦なくそれらを跳ね返してくる。 自分が歩いている平均台のように細く不安定な道は、誰かが用意してくれた安定した広い道ではない。何も存在しない場所に一つだけ置かれた高く細い道は、歩くだけでも恐怖で足がすくむ。だがその周りに幾つも同じ高さの平均台が存在する場所までたどり着けたなら、安定した広い道のように進んでいけるのかもしれない。 自分を取り巻く不条理な現実と、自分自身の未熟さを受け入れながら、いつか辿り着くであろう場所を探して、細く不安定な日常を今日も歩いて征く。