2022年11月9日

石川幸史 個展「Afterwards」

作品概要  この作品は、2008年と2018年に東ヨーロッパ一帯(旧ソ連のウクライナやバルト三国、旧共産圏のポーランド、ハンガリー、スロバキア、ルーマニア、チェコ、ブルガリア、アルバニア、旧ユーゴスラビアのボスニア、クロアチアなど)を旅し撮影したスナップ写真を、ロシアによるウクライナ侵攻後の2022年の現在において改めて見直す中で、新たに見いだされてきた断片的なイメージを編集し制作しています。  1978年生まれの私にとって、幼い頃、繰り返し目にしたチョルノービリ原発事故、ベルリンの壁崩壊、ソ連の崩壊及び東欧の民主化、続いて起こったユーゴスラビア解体やボスニア紛争などの歴史的な事件の映像は、遥か遠く国の出来事でありながらリアルタイムにカタストロフと変革が同時進行していく事態として、またとりわけチョルノービリ事故やチャウセスク大統領殺害の映像などは恐ろしいディストピア的な映像としても記憶の縁にこびりついてきました。 2008年と2018年の撮影当時も、そうしたイメージをどこかにひきずりながら、歴史や暴力の痕跡を求めて都市や路上を歩き、その中を生きる人々や遭遇した光景を撮影していたことを思 […]
2018年11月6日

石川幸史 個展「The changing same」

展覧会概要 2017年から開始したこのプロジェクトでは、関東平野の周囲を沿うように東京の郊外から山間部へと至る一帯をロードトリップしながら撮影を行っています。 これまでに北関東エリアを中心に、2020年の東京オリンピックを目前にして再開発が進む東京都心とは反対に、時代に取り残され廃墟化したバブル時代の施設、近代化や高度経済成長の名の下に乱開発され環境が破壊されたまま放置された鉱山跡地や石切り場、国をあげての公共工事として現在も進行中のダムの工事現場と周辺の景観、見慣れたはずの幹線通り沿いで不意に目にとまった奇妙な光景などを記録してきました。 東京周辺のいわば境界的なエリアに対して、まずその土地の地理や地質的観点からアプローチし、 近代以降の文化、歴史、政治、経済などの諸側面を踏まえて調査を行う中で、作品制作においては西部開拓期からウォーカー・エバンスらによるFSA、ソーシャルランドスケープ、ニュートポグラフィックス、ニューカラーへと至るアメリカのドキュメンタリー写真の系譜がもっていた批評性や方法論を参照しています。 すでに映画や写真、TVやインターネットの映像など様々なメディアを通して […]