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2025年10月8日

道先潤 個展「My Dear Unknown Plants」

10年ほど前、引っ越しを機に植物を育て始めた。だんだんと種類は増え続け今も続いている。 私にとって植物は身近な存在となり、それ以来、自然に群生する植物にも興味を抱き始めた。 ある夜、壁に這う蔦を見た時に、単なる植物としてではない象徴的なイメージが芽生えた。 それは「ここで生きている」という感覚だ。そして、それは私たちも同じだということに結びついた。 その結びつきの根源を知りたくて、私はそれを身近な自然と、人との関わりの中で見つけていきたいと思った。 旭川と東京。二つの土地で写真を撮った。どちらも私にとって身近な土地だ。 通りすがりの人に声をかけ写真を撮らせてもらう。会話をして関わりを持っていく。 その繰り返しの中で、私の心象はとても明確なものとなっていった。 その土地で生きる人や植物だけでなく、そこに存在する無形化されたものについても考えるようになった。 ポートレート、植物、ランドスケープ。ここに写っている”ありふれたもの”たちが語りかけてくるものは、 「親しみ」と「人との関わり」についてだ。それは、身近でありふれた植物のように寄り添い温もりがある。 さまざまな環境や境遇の中、誰かと関わり触れていくことで「ここで生きている」という結びつきを得るのかもしれない。 撮影を通し、その根源に触れた感覚は得たように思う。 そして、すべては身近な範囲で結びつき、気づかぬ内に満たされていく…。