2025年12月3日
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2025年12月3日
現代の建物を構成するガラスという透明な壁は、見る視点によってはその映り込みによって特異な光景を生み出している。特に人々や建物の密度が高い都市空間では、現実か否か曖昧な、あるいは合成によって生みだされたかのような光景が、ところどころにひっそりと映り込んでいる。そのなかで人々は常に移ろい、現(うつつ)を彷徨い、重なりあう。
様々なスケールの建物が乱立した結果遠近法を見いだせなくなった空間に、ガラスの鏡面反射が重なる様子は、建物をスクリーンに垣間見る映像そのものであり、わたしたち人間を含めた都市空間が無自覚にも見られる対象であったことを暗示している。
また反射のある光景はときに、文脈を問わず様々な人々を取り込みつつも決してすべてが馴染むことのない、未整理の猥雑さを残した都市の原始状態を映し出しているかのようでもある。そこでは解釈が行き詰まり、そのままとして受け入れるしかない様相が広がっている。
わたしたちの肉眼は図と地といったレイヤーに分けて物事を理解し捉えようとするが、そのようして世界が意味に分化される以前の光景のなかにこそ、豊かな時間が流れている。そうした光景に遭遇すべく、わたしはカメラアイによってキャプチャを続け、均一化したように見える都市のなかで戯れる。
2020年12月12日
アーティストステートメント 三次元の世界を二次元の映像に変換し、プロジェクターで再び三次元の世界へ還元する。この上映会は、二次元と三次元の間を探る試みである。上映会は撮影され再び二次元の映像へ変換される。この変換作業は繰り返し行われる。 上映作品(5作品46分) ・Part 29 紗景 / 9分 / 2020・Part 30 射面 / 10分/ 2020・Part 31 増速 / 12分 / 2020・Part 32 写映 / 7分 / 2020・Part 33 焦移 / 8分 / 2020



