2023年6月14日

qp個展「花の絵」

展覧会概要 qpは2000年代中盤より活動を始め、現在はおもに画家として制作を行っている。 「明るさ」(2020年)、「紙の上の音楽」(2022年)に続くAlt_Mediumでの個展「花の絵」(2023年)は、タイトル通り花をテーマとしている。 「明るさ」以降、水彩画が制作の中心となっているが、qpの水彩画は筆を極力使用せず、スポイトや紙の切れ端を用いる独自の手法である。今作「花の絵」では、筆を使わない技法がさらに徹底されている。 また花を描く際、現実のそれを見て写すことはせず、即興的に描写される単純な図形を組み合わせ、重ねられ、花に見立てられる。花は、多くの場合ただ一輪ではなくいくつも描かれる。いくつも描かれること、並べることによって生まれる音楽的なリズムに関心を向ける。 野生の花は、風や虫によってたまたま種が運ばれ、ランダムな場所に咲き群生していくが、qpの花も、野生のような作為のなさで紙を埋める。そうして、紙の上に散らばった花の色と形が響き合いながら、喜びを湛えた小さな世界を作るだろう。 今回の個展に合わせ、作品集「花の絵」(DOOKS)が刊行される。
2022年6月29日

qp個展「紙の上の音楽」

展覧会概要 qpは2000年代中盤より活動を始め、現在はおもに画家として制作を行っている。 2年前の個展「明るさ」(Alt_Medium)で発表された作品は、独自の手法を用いた、手のひらに乗るような小さなサイズの水彩画であった。今回の個展「紙の上の音楽」では、それ以降に描かれた新作が発表される。 今作において前面に出されたテーマは、絵における音楽の表現である。 同じ形を並べることによって生成されるリズム。どのような色を、どのような比率で組み合わせるかで変化するハーモニー。全体像を顧みず、瞬間の描画にまかせて生み出されるインプロヴィゼーション。 筆を使わない描画法も特徴的で、その手法によって描かれた丸や半円などの形を並べ、重ねることによって、装飾的な画面が作り出される。また水彩という、にじみが出来、同じものを描くことが困難な画材であえてパターンの実験を行う。 花という明確なモチーフが描かれることもある。なぜなら花のあり方も、パターンのあり方にとても近しい(同じ単位が反復される)からだ。 そうして、紙という薄い素材、ごく小さな画面の上で繰り広げられる、色と形の遊びのようなqpの作品は、ふた […]
2020年6月30日

qp個展「明るさ」

展覧会概要 qpは2000年代中盤より活動を始め、初期はイラストレーションと美術の世界を並行して作品発表を行ってきたが、現在はおもに画家として制作を行っている。 去年、7年ぶりに開催した個展「セルヴェ」(パープルームギャラリー)では、デジタル移行前のアニメのセル画にヒントを得た手法を用い、アール・ヌーヴォーの曲線感覚ときらめく玉を融合させた作品を発表した。 今回発表する作品は、セル画の手法を一旦保留し、また新たな手法が模索されている。制作された作品は大きく2種類に分けられ、ひとつは自然に委ねて作られた造形が画面を埋める装飾性の強いシリーズ、もうひとつは雲と太陽の関係を描いたシリーズである。 前者は、溶かした水彩絵の具を紙の端から流し込み、そこに生まれた余白に着色するという独特の手法で、意図しない形に意図した色を塗ることで作品化している。この手法は、二重に流し込むことでさらに細かな余白を作る方法へと発展させているが、そこから生み出される図像は、単なる模様というよりもときに何らかの意味も感じさせる。 後者の雲と太陽の関係を描いたシリーズは、前者から派生して生まれた作品群である。同じように完 […]