2024年4月3日

戸室健介 個展「exhibitions #2」

展覧会概要 動物園を撮影し始めて2年が過ぎた。 朝の開園と同時に撮影を始めるのだが、その時間に入園するのは 私と同じようにカメラを持っている人達が多いように思う。彼達は入園とともに思い思いの撮影ポイントへと散って行く。 人気が無くなってしまった入園ゲートで、私は行くべき具体的な目的がないので、とりあえず案内看板を眺めて見る。時折どこからか動物の鳴き声が響くのだが、聞きなれない声だからなのか少し気味が悪くもある。 大概の場合道順通りに、太陽の方向を気にしながら「展示」を見て歩く。写真になりそうな場所があればアングルを探して撮影し、また次へと歩いて行く。 繰り返し同じ様な場所を撮影していると、思いがけない風景に出会ったりする事は ほぼ無いままに、1日が終わったりする。 フィルムの現像が終わり、まずはコンタクトシートを作り、気になるカットはテストプリントへ。暗室の中で、10秒ほどの露光を終えた印画紙が現像液の中で段々と像を現す。それは淡いような、まどろっこしい様な2分間。さらにもう1分間定着液の中で印画紙から写真となるのを待つ。 蛍光灯をつけ少しだけ明るくなった部屋で、その写真を定着液から浮 […]
2023年5月24日

戸室健介 個展「exhibitions」

展覧会概要 動物園という見ることの目的が明確な場所では、私たちの目的は「展示」されている動物たちを見ることだ。だから私たちの記憶には動物のみが主に存在している。なので、それを取り囲んでいた 「展示」状況(私たちが無意識に見ていたであろうその場の全体、細部、視界を遮っていたノイズの存在、人工的な物質)は、頭の中で描かれる写真のように主体の脇でぼんやりとするか、もしくは記憶から欠落する。この「exhibitions」シリーズは、記憶の中の状況を現実の状況として写真化された時に、私たちはどの様に現実が見え始めるのか?見る目的の明確な「展示」の場所を撮影し、それを考察する。