2024年6月19日
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2024年6月19日
片柳拓子は、都市におけるモノの存在とその表層をテーマに、作品を制作してきた写真家です。
2021年に開催された「possession」(IG Photo Gallery / 東京)より発表を開始し、今年で4年目を迎えます。
また2023年には毎月一冊ZINEを制作し、写真の組み合わせと切り取られた言葉の関係を考察しました。
本展では片柳が2021年を皮切りに現在も継続する縦位置・カラーで構成された写真群を《possession》シリーズと位置付け、その最新作「reproduction」を展示します。
2023年4月19日
Relevant ステートメント どこに置き忘れたか思い出せなかった眼鏡は、職場の椅子の上にあった。いつもそんなところに置く訳ない場所にあったのだ。その時、必然があったから置いたのか?いや、どこに置き忘れたか思い出せないのだから無意識に置いたのだろう。置く場所が無かったからだろうか。いつもなら眼鏡が無いと不自由を感じるはずなのに、不自由を感じることなく、職場を離れた。眼鏡の不在による違和感は唐突にやってきて、世界が見えにくくなったのか、眼鏡の存在が大きくなる。脳内で行動を逆回転再生し、眼鏡の所在を探す。それでも見つからないので、脳内再生しながら身体を使い過去を追体験する。しかし、見つからない。脳内再生や身体的行為として探しても見つからないのは、過去に戻るのではなく未来に向かい新しい動線を描いているからだろう。つまり、無意識下に置ける物の喪失は、記憶不在であり、無かった・無いという現時点での事実だけが見えている。顔の一部とも言われることもある眼鏡の存在は、他者にとっては個を分類するマークとなる。ゆえに、分類マークが消えたとき、長年見慣れたはずであった他者の顔が、見知らぬ他者の存在になり動 […]
2022年4月20日
impersonation 到着したら、とりあえず駅前のありふれたカフェに立ち寄り、温かいものを飲む。 温かいものを飲んでいるうちに、少しずつ街に馴染んでいくような気がするのだ。飲み終える頃には、私はその街の住人が着ているような空気をまとう。そして、あたかもその街の住人のような顔をして街を歩きだす。 その街に住んでいないと歩かない路地に迷い込んでみる。というよりも自ら街に迷いに行く。温かいものを飲みながらまとった街の空気は、「近所に住んでいそうな人」もしくは「新しく越してきたかもしれない人」といった立ち位置を演出する。 時折、人に見られている気配を感じて振り返ってみると、人ではなく猫に見つめられて ことがある。猫に見つめられていると思って振り返ると、そこには誰もいない。そこにあるのは物だけで、気配を探してあたりを見回すが、人影も動物の影も見えない。 そこに誰かがいたのかもしれない。しかし、その気配だけが私に触ってくるのである。そして、こちらを向けと囁くのだ。 そのうち自分がどのあたりを歩いているのかわからなくなり途方に暮れる。どこかにランドマークとなるようなものが見えるのではないかと遠 […]