2026年1月14日
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2026年1月14日
※2026年1月31日(土)はトークイベント開催につき、当日は17時以降展覧会のみの入退場が出来ませんこと予めご了承ください。 展覧会概要 これまで写真を通して“他者と出会うこと”について考えてきました。前作の「接触と沈殿」では、ひとつの部屋を介して、初めて出会う人物のポートレイトを展示しました。親しみと戸惑い、あるいは親密さと距離といった相反する心の作用を風景に託しながら、他者の感触を浮かび上がらせようとしました。 前作から地続きに展開する今回の展示では、写真と言葉の関係に着目します。両者の記録性はともに曖昧なものです。このことを前提に、”他者の感触”について引き続き問うてみたいと思います。 — 誰かと会う約束をする。場所はどこかの部屋がいいけれど、外で会うのも悪くないだろう。わたしたちに必要なのは声が届く距離だから。 交わす言葉のなかで、語りはすでにはじまっている。取るに足らないような話こそ、耳の奥底に沈殿するのはなぜだろう。浮いている髪の毛が陽光で透けるさまが、網膜の上に影を落とす。終わりの時間が来ると、今日はありがとうと言って別れた。 扉が閉まる音がする。あなたの話 […]
2025年3月5日
展覧会概要 いつもの振る舞いを制限され、他者にも容易には会えなくなったことで、その頃のわたしは憂鬱な気持ちを抱えていた。ひとりになれる場所がほしくて、静かな場所の古い家屋の中に小さな部屋を借りた。それはひどく寒い季節が始まる頃の話で、次の寒い季節が来るまで続いた。ここに並ぶのはその部屋を訪れてくれた人物、そして同じ時期に出会った風景と事物のポートレイトである。 部屋の訪問者たちとは初対面で、まずは挨拶を交わし、穏やかな雰囲気の中で撮影が始まる。そこには少しばかりの緊張と居心地の悪さも交じっていただろう。撮影のあいだも色々な話をする。まるで短い物語を聞くかのような時間もあった。しかし誰かのことを思い出そうとする時に思い浮かぶのは、耳底に沈む声の響き、瞬きひとつで移ろう表情の行方、あるいは窓から差し込む光が床の表面に残す、体温にも似た温かさだ。それらはあまりに微細な事柄で、曖昧で、日常生活の中で掻き消されてしまう他者の感触を含んでいる。必ずしも写真に記録されるわけではないそれらが、見る人の中で呼び起こされたら良いと思う。



