2024年7月20日

金子佳代 個展「MONTAGE」

地球は、私たち人間の目に静穏(Serenity)に見えるその瞬間でさえ、常に変化している (Dynamism)。大地はゆっくりと動き、風雨によって削られながら、新たな地形を刻み続ける。そしてその仕組みは一部解き明かされているものの、依然として多くの謎が存在する。私たちは謎の球の上で、ときにそれがもたらす災害に翻弄され、ときにそれが生み出す景観に魅了されながら生きている。 今回、私がニュージーランドとオーストラリアを訪れた際に撮影した自然の写真を展示し、さらにそれに関する説明文を地球料学の視点から執筆することで、美術展と博物展の融合を目指した。ニュージーランドの雄大な氷河地形、オーストラリアの壮大な石灰岩地形や古代の姿を残す森林を撮影したこれらの写真は、私たちに自然の美しさを改めて感じさせる。 撮影を通じて、私は地球のダイナミズムを感じずにはいられなかった。写真は時間・空間を切り取り記録する技術だが、その撮影の前後の長い時間、そしてフレーム外に続く広大な空間において、自然は絶えず変化を続けている。地球科学の知見があったからこそ、自然の残した痕跡を読み取り、前後の時間で受けたであろう作用や、どんな広角レンズを使ってもフレームに収まることのないような大きな空間に働く力に想いを馳せることができた。地球科学の視点から説明文を執筆したのは、自然の背後にある現象を知ることが、写真が切り取った時間・空間の外を想像する助けになるだろうと考えたからである。 時間的にも空間的にも人間のスケールを遇かに超えた雄大な自然と、その中を生きる生命の姿をお楽しみいただけたら幸いである。
2023年9月27日

金子佳代 個展「A VIEW BEYOND」

展覧会概要 生い立ちを知らない絵を引き取り、手を加えた。 絵を木に例えるならば 剪定程度から、大掛かりな伐採、接木、植え替え 種をもらって別の鉢で新たに育てるなど あの手この手を施して、その絵の先を見ようとした。 絵具がひび割れ始めた古い絵も、新鮮な空気と水を吸うと 思わぬ方へ伸びていった。
2021年8月31日

金子佳代個展「floaty」

展覧会概要 *これらのモチーフをわたしは探さなかった、向こうから、ぽっと現れてきたものだった。なんでもいいようで、でも、なんでもいいわけではまったくなかった。・・57作品のドローイング「floaty」。このシリーズを収録した作品集を制作しました。 *目の前にある制作途中のものをよく見ていると、次の展開をひらめく。 ひらめきに翻弄されてあれこれした末、何もなくなってしまった大きな馬の絵があった。その馬の首だけは、隣で描いていた人魚の絵に移植されて、残った。ゆくゆく人魚の首にするために、馬の絵を描いたのではなかった。なかったけれども、なってみれば、そのようにするために描いたように見えた。 制作をしているとき、気まぐれな風に飛ばされるビニール袋のように、軽く、遠く、わけなどわからない方まで飛んでいきたいと願っている。たとえ着地した場所から振り返れば、その軌跡は必然だったとしても。・・ドローイングを切り抜き、立体的なコラージュにした作品などを展示します。 *
2020年9月22日

金子佳代個展「collage some」

展覧会概要 金子佳代は東京を中心に制作と発表を継続している画家・作家です。近年ではその作品が書籍の装丁に用いられるなど活動の幅を広げ、更に去る2020年8月には東京・渋谷homspun 横stripe roomで個展「Shell & Without shell」を開催し精力的に作品を発表しています。 Alt_Mediumでは二回目の個展となる本展覧会「collage some」では、トレーシングペーパーにドローイングを貼り加工した後、その作品に潜んでいるストーリーを考えて描いたシリーズ作品「paleorange storys」や、青と黄色の小さなトレーシングペーパーを市松模様のようにコラージュした「Patchworking」、古い紙を黄色く塗って描いた「Yellows」などで、会場を構成します。イメージを一枚の紙上で、もしくはイメージの描かれた紙同士を、実際につぎはぎした作品群に潜む金子の世界をこの機会にぜひご覧ください。