2019年8月6日

片山高志個展「距離と点景」

展覧会概要 片山高志による本展覧会「距離と点景」は2017年の「EMPTY EMPIRE」以来、Alt_Mediumでは2回目の個展となります。  片山はこれまで顔を別のものにすり替えた群衆や、突然切り離され、浮かび上がるように現れる風景など様々なものを描き、常に鑑賞者に対し描かれる余地や、描かれなかった可能性を絵画によって指し示してきました。  近年、白・黒、その他単色の上に写実的に描かれた空想の景色を描いていた片山が、新作では鮮やかな色彩が用いられているほか、その画面全体に散らされた様々な色の点や、流れ込んだ色は、片山の絵画における新たな局面を示しています。  常にその様相を変化させながら、絵画を問い続ける片山高志の現在をぜひご覧ください。 === 模型の表象—距離と点景展によせて 強固なスタイルを構築したかと思えば、次に現れるときには、すでに新たな意匠を編み出している。語ろうとする言葉の手をすり抜けるように、片山高志は制作を続ける。  いま、片山の絵画には軽やかな色彩が導入されている。これまで片山の絵画が色彩を排してきたわけではない。しかし、現在の作品群に至るまでのそれは、重く画 […]
2017年11月14日

片山高志個展「EMPTY EMPIRE」

展覧会概要 現代社会の中では意味のないものが排除され、決まり切った価値観に沿った物事であふれている。個人による自律的で自由な思考は、あらかじめひかれたレールに沿うことを強いる社会の中で硬直していく。それはつまり、自らの問いに向かうことを忘れ、探求心や想像力を失っていくことと同義であろう。わたしは常々、当たり障りのないありふれたイメージよりも、打ち捨てられたような風景や、誰も目を向けないような無意味な風景に触れた時に心が動かされる。 それは言葉にしがたく、とりとめのない光景ではあるが、言葉にならない新鮮な感覚を喚起させてくれる。そしてその光景は、誰でもが受け入れ安いようにお膳立てされたイメージとは決定的に異なる。 その私の中に起こった新鮮な感覚を、絵画という方法で表そうとすることは、伝統と様式にからめとられていくようであり、矛盾を感じざるを得ない。しかし、その矛盾にはあえて解を示さず、問を宙づりにしたままの状態を、絵画として表象したい。 −片山高志 === 本展覧会「EMPTY EMPIRE」によせた文章において片山は、意識/無意識を問わず私たちを絡めとる制度や計画性からこぼれ落ちたかの […]