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2021年12月21日

川名晴郎 個展「雪」

展覧会概要 主に日本画材を用いて制作した平面作品7〜10点による展示です。自分の中には日常的に目にしているものと、メディアを通して触れるイメージが存在しています。それらを絵の中で混ぜ合わせることで、自分が感じている空気のようなものが展示空間にも流れたら良いなと思います。
2021年12月7日

鼻崎裕介 個展「東京日日」

展覧会概要 鼻崎裕介は1982年和歌山県出身の写真作家です。2007年に東京ビジュアルアーツ写真学科を卒業、独立後は2011年〜2019年 ギャラリーニエプスメンバーとして活動し、『City Lights』(ふげん社、2018年)を上梓しました。 本展覧会で発表する作品は鼻崎が2013〜2021年に東京を撮影したカラーのストリートスナップです。東京と大阪を2部構成でまとめた自身初となる写真集『City Lights』を経て、このコロナ禍で思うように街で撮影ができない中で改めて自らの写真を見つめ直し、それらに2018年以降に新たに撮り下ろした作品を合わせて構成した「東京日日」を発表いたします。 コロナウイルスの蔓延によって様々な行動が制限された中で、今までは気づかなかった普段の生活の豊かさと、非日常さをお楽しみいただけます。
2021年11月23日

岩崎美ゆき 写真展「折りたためる海」

展覧会概要 写真家の岩崎美ゆきは東京を中心に活動し、近年は新作による展覧会の開催を着実に重ねています。 本展覧会は2019年の「この海は、泳ぐためではありません」から数えて3回目にあたるAlt_Mediumでの個展となります。 岩崎の作品はデビューより一貫して、直裁に風景を写しとる硬質なストレートフォトグラフィーによって構成されています。深い被写界深度で撮影された写真は、画面の隅々までピントが合うことにより、かえってそれを見る者の眼差しを画面上に彷徨わせるようです。 また同時に、そのようにして撮られた岩崎の写真には、耳目を集めて特別に名指される土地や景観というよりも、普段には人々が何気なく通過してしまうような光景が写し留められています。 本展覧会に寄せた文章からもわかるように岩崎は、写真が作者の内的なイメージの等価物へと収斂されることに抗い、それらを一種の開放的な「場」のようなものとして存在させることを試みているのです。 平明でありながら、それゆえに言葉しがたい深みを感じさせる写真群をこの機会にぜひご覧ください。 === 見えているのに理解できないものへの畏怖。見えているのに意識にのぼ […]
2021年11月16日

田川基成 写真展「NAGASAKI SEASCAPES」

展覧会概要 長崎県の離島出身の作家・田川基成は、自身のルーツとその後の移動や旅の経験を通し、移民と文化、土地と記憶、信仰などに関心を持ち写真作品を制作してきました。2016年頃から故郷・長崎に目を向けて撮影を続けるシリーズは、展覧会「見果てぬ海」(2020〜2021)や写真集『見果てぬ海』(赤々舎、2020)として発表されています。 本展では、未発表の新作写真から、長崎の海岸と島々を巡り撮影された海の風景=SEASCAPESを主題とし構成されます。作家は4年ほど前、幼少期より遠く西の海の向こうに眺めていたという五島列島の無人島に、海を渡って初めて訪れることになりました。その島の高台から見た光景は、遠く東の海に自身が育った島を見渡すことができ、「風景が反転してしまった世界、あるいはパラレルワードに渡って来たかのような不思議な知覚」を得たのだと言います。同時に田川は、「海の向こうを見る者はまた、海の向こうからも見られていた」という事実にも気がつき、以来、そのことを意識しながら撮影を行ってきました。また、約600もの離島が存在する長崎の海は、間に海を挟んで「見る、見られるを延々と繰り返す環世 […]
2021年11月9日

山崎雄策個展「白い施設」

展覧会概要 山崎雄策はTOKYO FRONTLINE PHOTO AWARD #4準グランプリ(飯田志保子賞、濱中敦史賞選)や写真新世紀2014優秀賞(清水穣選)など多くの受賞を重ね、その作品発表において常に耳目を集める気鋭の写真家です。 本展覧会「白い施設」は山崎にとってAlt_Mediumでの3年ぶり2回目の個展となります。Alt_Mediumにおける2018年の個展「さかしま」での出展作をきっかけとして山崎は「造花」という存在に着目し、本展覧会にはその関心のもとに制作された作品が並びます。 造花とは人々のまなざしに供せられるために存在し、あくまでも生花の代用でありながら、レンズを通したその姿はまるで生きているかのように見えることさえあります。 山崎はキャリアの初期から、デジタルとアナログを自由に行き来し、様々な技法を用いつつ、写真のもつ真実性を逆手にとるように、虚実の曖昧な対象を画面上につくりあげてきました。そうした作品はある種の遊戯性をその表面に湛えつつも、写真という媒体の在り方へと鋭く問いを差し出すものであることが、高く評価されています。本展覧会も視覚にとどまらず、思考的にも […]
2021年10月26日

前川光平個展「隣の芝は青い」

展覧会概要 本展は、主に”Yard Art”と呼ばれる奇妙な庭や軒先を記録したイメージで構成されます。 “Yard Art”(以下ヤード)とは、缶や瓶、DIY、人形などによって精巧に装飾された路上のディスプレイを指します。それは例えば奇抜なラブホテルや商品が陳列されたアンティークショップなどではなく、あくまでも一般的な人々の住み家で構築されたものです。 5年ほど前からピザ配達のアルバイトをしている作者は、配達圏内である東京と埼玉を中心とした郊外で多くのヤードを見かけてきました。 建物全体が怪獣や猫やアヒルのフィギュア・浮き輪・西洋像に囲まれたブルーの集合住宅。座席に住人の免許証の巨大コピーと「幸運」と書かれたシールが貼りつけられた軽トラックの周りに富士山の写真がグレーの外壁に一列に並んだ一軒家。「ありがとう」「花竜二がんばってる」「音楽をやってることは幸せ」「なかなか普通になれないね」など書かれた大量の段ボールに囲まれたビーナス像と土星が描かれた絵画が置かれた美容院、など。 それらの多くは住人の個人的な趣味や近所の子供を喜ばせるため、あるいは空き巣対策であると聞きますが、ただ彼らの装飾 […]
2021年10月12日

寺崎珠真個展「Heliotropic Landscape」

展覧会概要 寺崎珠真は鋭敏な感性で風景を主題とする若手写真家です。 寺崎は武蔵野美術大学を卒業した後、東京を中心に個展やグループ展、写真集の発刊など実直に発表を重ねてきました。その清新な写真群は、「自然」を単に我々の外部的な存在として単に措定するのではなく、人間や人間の活動をもその内に含み込むものとしてそれを観るような懐の深いパースペクティブに裏打ちされたものです。本展覧会では作者自身が木々の間に分け入り、精細に捉えた新作を発表いたします。 === 現在の主な探査活動の場は樹林帯へと移った。茂みの中を歩き回ると、視点の定まらないめまいのような不安感があるがずっと浸っていたい心地よさもある。錯雑の中にあっても陽は昤々として降り注ぎ、絡まり合った枝葉は反照し渾然としたものたちのざわめきが聞こえてくる。そんなとき透かさずシャッターを切ると、自ずと風景が立ち現れる。 − 寺崎珠真
2021年9月28日

佐藤友浩個展「Cycle of rebirth」

展覧会概要 私の幼少期の記憶は、自然の中で過ごした家族や友達との時間です。 未来を生きる人は、自分の利益の事だけではなく、美しい自然や仲間と繋がりを感じ、思いを寄せながら生きている人だと思います。私は古着や使われなかった新しい布を使用し、地球や自然に思いを馳せる事が出来る様な服を作りたいと思いました。その服を身に纏う事で木が植えられ、地球との繋がりを肌で感じられたり、それ自身が個人のアイデンティティになっていったら良いと思い、今回のコレクションを制作しました。 本展覧会における服の売り上げは、その一部が植樹活動に使用され、会場では実際に植えられる苗木も一緒に展示します。 ※苗木提供:認定NPO法人環境リレーションズ研究所
2021年9月21日

佐治みづき・水野 咲 二人展 「ポップコーンの香りがしてる」

展覧会概要 絵描きである佐治みづきと水野 咲が初の二人展を開催します。二人は、多摩美術大学グラフィックデザイン学科2017年卒の同級生です。本展では「鳥」を共通のテーマとし、各々が制作をしました。 私が飼っていた鳥は青梗菜が大好きで林檎のことは怖がっていました。鳥という存在は、思っているよりもずっと私たち人間のそばにいると思います。それぞれの営みの中で鳥と人がふと交わる場面を描きました。(佐治みづき) 私が飼っていた鳥は目が爛々と輝いていて、嘴は常に静かに笑ってるみたいな形をしていました。今回は「はばたき」という連作で感情がぎゅうっと濃縮され時間の流れが変わる瞬間を描きました。(水野 咲)
2021年9月14日

田中菫個展「鱗粉」

展覧会概要 うつくしさは粒のかたち。どぶの奥底に埋められている。泳げない人が水泳の時間にするのは、ゴム製の宝石を集めること。少女は毎晩悪夢を見る。夢の中で彼女は埃になる。ある朝目覚めると背中に羽が生えていた。エメラルド色の大きな羽。歩くと羽が壁にぶつかるけれど、怪我はしないし痛みもない。鼻を近づけると黒糖のにおい。今日からこいつと一緒に生きる。羽をたっぷり揺らせる広いお家に住もう。畳に落ちたりんぷん。すだれの隙間から差す光の粒。
2021年8月31日

金子佳代個展「floaty」

展覧会概要 *これらのモチーフをわたしは探さなかった、向こうから、ぽっと現れてきたものだった。なんでもいいようで、でも、なんでもいいわけではまったくなかった。・・57作品のドローイング「floaty」。このシリーズを収録した作品集を制作しました。 *目の前にある制作途中のものをよく見ていると、次の展開をひらめく。 ひらめきに翻弄されてあれこれした末、何もなくなってしまった大きな馬の絵があった。その馬の首だけは、隣で描いていた人魚の絵に移植されて、残った。ゆくゆく人魚の首にするために、馬の絵を描いたのではなかった。なかったけれども、なってみれば、そのようにするために描いたように見えた。 制作をしているとき、気まぐれな風に飛ばされるビニール袋のように、軽く、遠く、わけなどわからない方まで飛んでいきたいと願っている。たとえ着地した場所から振り返れば、その軌跡は必然だったとしても。・・ドローイングを切り抜き、立体的なコラージュにした作品などを展示します。 *
2021年8月24日

桑沢デザイン研究所 羽金知美ゼミ展「日々続く道」

展覧会概要 この度桑沢デザイン研究所 羽金知美ゼミによるグループ展「日々続く道」を開催いたします。私たちの人生は先の見えない長い道です。私たちは3年間という学生生活のほとんどを2020年から続く異常な日々の中で過ごすことになりました。しかし写真を撮っていく中で、目の前にある日常の些細なことの積み重ねが私たちそれぞれの道を紡いでいることに他ならないと考えるようになりました。 今起きていることもいずれは長い道のりの途中で起きた些細な出来事になるのかもしれません。私たち7名が歩み続ける中で見つけた軌跡をご覧ください。
2021年8月17日

姫野顕司 個展「PERSEUS」

展覧会概要 姫野顕司は東京を中心に活動する写真家であり、本展覧会が姫野にとってはじめての個展となります。 これまで実直に街区での撮影活動を続けてきた姫野ですが、そうした活動はつねに写真という媒体への問いによって裏打ちされてきたといえます。本展覧会のタイトル「PERSEUS」とは、三次元的な事物を平面化することで成り立つ写真を、それぞれが異なる距離に位置する星を同一平面上で仮想的に結びつけることで成立している星座への類比として捉えることから導き出されたものです。 写真は被写体が再現前するような幻惑的なものではなく、あくまで現実に存在する事物の断片を形骸化したものであると述べる姫野の思考は、本展覧会に出展される大型のコラージュ作品からも看取することができるでしょう。 弛まず続けられた撮影行為と思考から構築された、姫野にとって初の展覧会を、この機会にぜひご覧ください。