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2020年7月21日

篠田優個展「on the record|建築とその周囲」

展覧会概要 篠田優は1986 年生まれ、長野県出身。現在は東京を拠点に活動する写真家です。 本展覧会「on the record|建築とその周囲」では2017年、長野県信濃美術館で発表された「Voice(s)」から継続して篠田が撮影している、美術館内部やその周囲をとらえた写真を発表します。 「Voice(s)」から一貫して篠田は、建設当初に撮られる竣工写真のような、理想的な建築物の姿を後世へと残すことを目的とした記録を行なうのではなく、窓や椅子といった、建築の実際的な機能を担う部分を記録することに集中してきました。篠田がとらえてきた事物は、理想としての美術館の姿からは省かれてしまうような、しかし、美術館を構成し、その機能を可能にしている存在です。それらを撮影して組み合わせることは、公的で「大きな」記録の欄外に、私的で「小さな」記録を書き込もうとするような試みともいえるでしょう。また、篠田は撮影することに随伴して、場所の印象と自らの撮影行為を素描するようなテキストも書き記しています。そのテキストは自らの撮影行為を振り返るとともに、そのときに写し得なかったものを覚えておくためのメモのようで […]
2020年7月4日

First three-year plan / 第一次三カ年計画(2020-2023) Tatekawa Kiyoshiro film collection 1

上映概要 作品の生産に次ぐ生産こそが作家生命の根源であり作品の生産停止は作家の消失を意味する。急速な映像機器・記録媒体のデジタル化により映像作品を大量に生産することが可能となった現在、作家は存在意義をかけ更なる作品増産に着手しなければならない。ここに継続的・安定的作品増産が図れるよう「第一次三カ年計画」を作成した。 「第一次三カ年計画」1.月間5本の映像作品生産(年間60作品、3年間180作品)を目標とする。2.作品時間は自由とし、全ての作品に実験的要素(構造・思考・方法)を取り入れること。3.作品内容に関して過去の自己作品及び他作品に対する類似性は問題としない。4.継続的に作品を生産・上映することを最優先とする。5.安定的な生産体制の確保こそ最重要課題である。効率的な生産体系構築のため撮影及び編集方法を徹底的に合理化する。 この上映会より「第一次三カ年計画」を始動する。 2020年7月 立川清志楼
2020年6月30日

qp個展「明るさ」

展覧会概要 qpは2000年代中盤より活動を始め、初期はイラストレーションと美術の世界を並行して作品発表を行ってきたが、現在はおもに画家として制作を行っている。 去年、7年ぶりに開催した個展「セルヴェ」(パープルームギャラリー)では、デジタル移行前のアニメのセル画にヒントを得た手法を用い、アール・ヌーヴォーの曲線感覚ときらめく玉を融合させた作品を発表した。 今回発表する作品は、セル画の手法を一旦保留し、また新たな手法が模索されている。制作された作品は大きく2種類に分けられ、ひとつは自然に委ねて作られた造形が画面を埋める装飾性の強いシリーズ、もうひとつは雲と太陽の関係を描いたシリーズである。 前者は、溶かした水彩絵の具を紙の端から流し込み、そこに生まれた余白に着色するという独特の手法で、意図しない形に意図した色を塗ることで作品化している。この手法は、二重に流し込むことでさらに細かな余白を作る方法へと発展させているが、そこから生み出される図像は、単なる模様というよりもときに何らかの意味も感じさせる。 後者の雲と太陽の関係を描いたシリーズは、前者から派生して生まれた作品群である。同じように完 […]
2020年3月17日

Jakuyo 個展「Whisper」

展覧会概要 現代都市に生まれ、育てられた私達は生まれつきから政治や偏見など人間文明の争いに囲まれ、当たり前のように日常生活の一部分として受け入れたが、それは暗くて長いトンネルの中で永遠に歩き続けるような気持ち、虚しくて苦しい。 それに比べて、昔からこの地球のどこかで逞しく生き生きしている生命たちは時間や国境とかに関わらず、長い歴史の中で光のように純粋で美しく輝いている、あらゆる醜いものと全く関係ない彼らはまるで「永遠」の詩を囁いてる気がする。 こんな彼らを見ると、自分という存在はいかにも矮小で哀れなものだと気付いて、自分の中でずっと響いている原風景を最大限に形をしたものです。
2020年2月25日

「imshow」

展覧会概要  本展「imshow」は、写真、インスタレーションなどの表現からなる展覧会です。現在、「写真」という映像メディアはデジタル化やソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の発展に伴い、写真家だけではなく多くの人にとって親しみやすいメディアのひとつとなりました。  写真は、基本的にはレンズが光を集約することで結ばれた像を切り取り、印画紙に焼き付けたものです。その際にレンズを対象へ向けるフレーミングは、写真家にとって技術であり思考そのものとして扱われてきました。そのため、フレーミングという行為は、撮影においては「画角」、編集では「トリミング」、「マスク」などそれぞれの段階で取り組まれます。つまりそれは、撮影時や編集時においても常に世界をどのように切り取るのかを重要視してきたことの表れです。  本展覧会名である「imshow」とは、コンピューターでイメージを表示させる際に用いるプログラミング言語です。本展では作家がどのように世界をみて、切り取り、またはどのようにイメージを作品として受け入れるのかという点に着目して、作品とドキュメントから展示空間を構成しています。  本展はこの […]
2020年1月14日

Alt_Medium特別展示

展覧会概要 Alt_Mediumでは2020年最初の展示として、篠田優が今まで別会場での展覧会で出展した作品や、2020年1月20日(月)から2月1日(土)まで表参道画廊(東京)で開催される個展へとつながる作品群を展示しています。 よろしければどうぞお越しください。 【開廊時間】*本展覧会は特別展示につき、開廊時間は13:00〜19:00となっておりますのでご注意ください。
2019年12月24日

山中南実個展「andante」

展覧会概要 山中南実は1997年東京都出身、2019年日本写真芸術専門学校を卒業した若手写真家です。山中は自身の作品や、それを生み出す日常について「生を思い出させてくれるきっかけは小さいけれど身近にある」と話し、空気感のような、事物ではないけれどもそこにあるはずのものといった、生きていることを思い出す瞬間を撮影します。 本展覧会「andante」では季節の変化や風の心地よさといった、せわしない日常の中ではただ流れ過ぎてしまうような小さなきっかけをカメラを通して丁寧に掬いとった写真が並びます。 この機会にどうぞご高覧ください。
2019年12月15日

長田果純 写真展「平凡な夢」

展覧会概要 長田果純はフォトグラファーとして、様々なジャンルで活躍する中、作品を発表する度に新しい一面をのぞかせてきました。 ありふれた日常でありながら、夢想的で、「ここではない遠い場所」を想起させる写真たち。水面に広がる波紋のような静けさを宿していながらも、そこには感情の機微や温もりが確かに存在していることから、長田が何を軸に撮影してきたかが伝わってくるでしょう。 本展覧会で約3年半ぶりに発表される「平凡な夢」は、彼女がある時から体感するようになった〈浮遊感や離脱する感覚〉そして〈自分を“もう一人の自分”が見ているような感覚〉がきっかけとなり、集積された体験が具現化されて、ひとつの作品群として誕生しました。 長田はこの感覚を「まるで現実の世界が、終わりのない“平凡な夢”のように感じられた」と表現しています。彼女にとってこの時期は、靄(もや)がかったような、深い霧の中をさまよい続ける絶望的な時間でしたが、そうした夢現の精神の渦中で撮影された写真は、どこまでも純心な美しさを帯びたものでした。 そして、これまで疑うことなく続けてきた「写真を撮るという行為」が、改めて自分を救済してくれたと、 […]
2019年12月3日

RHESS EXHIBITION「QWERTY」

展覧会概要 イラストレーター 九島 優とグラフィックデザイナー 鈴木 椋史によるクリエイティブプロジェクト「RHESS」の展覧会「QWERTY」を開催します。 ともに東北芸術工科大学出身で、九島は日本画コースを卒業後、個展や作品提供といった作家活動を、鈴木はプロダクトデザイン学科を卒業後に広告代理店のグラフィックデザイナーとして経験を重ねてきました。 2015年より共同制作を開始。同年12月に東京渋谷でオールナイトの展示/音楽イベント「QWERTY TOKYO」を開催。2019年からは活動名を「RHESS」と題し、写真とイラストレーションをリンクさせた初作品集「RHESS ARTBOOK」を上梓。その後も楽曲制作とアートピースを掛け合わせたカセットテープ作品「ASTRA」をリリースし、COMITIAなどのイベントで発表してきました。 本展では二者の新規作品を含めた、「RHESS」としての一年の活動を原画や大判出力で振り返ります。
2019年11月26日

岩崎美ゆき写真展「この海は、泳ぐためではありません」

展覧会概要 岩崎美ゆきは2018 年武蔵野美術大学映像学科を卒業。2017 年には第17 回「1_WALL」では奨励賞(増田玲選)を受賞。岩崎はこれまで撮影する場所に対してフラットな関係性を保ちながら、見ているようで見ていないものや、空間を提示しようと試みてきました。 岩崎にとってはじめての個展である「この海は泳ぐためではありません」で、岩崎は自身とは縁のない式根島を撮影しています。いまだ手つかずの自然を残しながらも、人為や天災によって徐々にその形をかえゆく土地を岩崎は、” 少し閉じながらも変わりゆく場所” と表現しています。そこに立っていた岩崎の風景と、そこに立っていない鑑賞者が見る” 写真に写った風景”。それぞれ対峙した際に生じる風景の揺らぎを、どうぞこの機会に御覧ください。 -Alt_Medium
2019年11月19日

保田虎之介個展「ORIGIN」

展覧会概要 この作品は、大学生活での自分の原点の成長を描いており、私自身の感情と絵の中の主人公の感情がリンクしたような作品となっております。主人公が世界をめぐりどのような成長を見せていくのか彼とともに旅をして普段表に出ないような私の感情を感じてもらえたらうれしいです。
2019年11月12日

喜多村みか 写真展「TOPOS」

展覧会概要 喜多村みかは1982年福岡県生まれの写真作家で、2008年東京工芸大学院芸術学研究科メディアアート専攻写真領域を修了。 喜多村は主にスナップショットという技法を使用し、非常に身近でありながら少し距離感がある、どこともいえない世界を切り取ります。その様子は作家自身のというよりは作家の前に広がる風景の身じろぎのようであり、絶え間なく揺らぐ世界の隙を捉えたかのようでもあります。 今回発表される「TOPOS」は「VOCA展2019現代美術の展望─新しい平面の作家たち─」において山峰 潤也氏(水戸芸術館現代美術センター学芸員)より推薦を受け出品され、大原美術館賞を受賞した作品です。本作品で喜多村は、自身が中学生時代を過ごした長崎と、それまで直接的には縁のなかった広島を定期的に通い撮影しています。そのある年、喜多村は長崎でも、広島でもない場所で平和記念式典のテレビ放送の様子を撮影。その写真を後日眺めていたときに感じた”遠くのどこか”を眺める行為について思いを巡らせたことが本作へと繋がります。 喜多村は、今、自身の写真について「すべての場所に言えるのは、そこは何かが起こった後であり、何か […]