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2022年3月9日

ムラタナナ個展「ROUNDUP」

展覧会概要 修士課程修了作品展として人生初の個展を行います。“ROUNDUP”は英語でまとめという意味です。大学4年生から大学院2年通い、卒業するまでの制作まとめとしての展示です。作品も全てその期間に作られたものです。シルクスクリーンやリソグラフなどで制作をしながら”唯一性”とはなにか、考えながら自分らしく制作しました。
2022年2月16日

寺平花 / 中野菜々花 二人展「しゃべってる」

展覧会概要 喋っている時、私たちはそれぞれの生活の出来事を持ち寄っている。得たものを共有したり言い出すタイミングを逃したりする。そこから大きなアイデアを閃くことがあるが、それは奇跡である。私たち2人が同じ空間に作品を置くことはその喋っている状態に近いかもしれない。そのなんでもないやり取りがリアリティと奇跡に繋がると信じている。
2022年2月2日

ルーク・クラウチ 個展「Dirty Butterfly」

展覧会概要 Dirty Butterfly私は最近まで東京で英語講師のアルバイトをしていました。私の生徒たちは、人生におけるさまざまな経験をよく語ってくれました。私はこれらの話を書きとめて集めました。生徒たちの話は、単に経験談として興味深いばかりでなく、日本の文化や歴史を垣間見ることができるものです。 本プロジェクトでは、生徒たちの話をもとに絵画を制作しています。各作品は彼らの言葉を直接引用し題材にしております。私の生徒の多くは自衛隊や航空会社に勤めておられて、ご高齢の方もいます。一番熱心な生徒は日本の自衛隊の一佐です。そのため、戦争、航空技術、飛行などがこの作品の主題となっています。 普段はドローイングや想像を軸に絵画作品を制作していますが、今回の作品の一部は写真を参考にしています。その理由は、描こうとしている出来事を写真以外の方法で目にしたり、 想像だけを頼りに描いたりすることが難しかったからです。しかし、写真のような絵画を描きたいとは思っていません。写真は、あくまで写っているものとは異なるイメージを表現するためのスタート地点として利用するものと捉えています。 === Dirty […]
2022年1月26日

佐方晴登 写真展「Dead. But not dead.」

展覧会概要 近年「事故物件ブーム」がにわかに巻き起こり、それにまつわる商業映画や、小説、ネット記事が数多く制作される様になりました。事故物件なる言葉はブーム以前から存在していましたが、日本人に古くからある意識、不浄の概念の現代版のようであり、現代日本の消費文化と結びついてホラー映画的な一つのカルチャーになりました。 しかし本来、生と死という概念は古くから人類が直面してきた現実的、哲学的な問題であり、資本主義的消費文化が根付く以前は軽々しく扱ってしまう様なテーマではなかったように思います。 私は生と死が一種の商品として市場に流通している事に対し、非常に違和感を感じてきました。思えば、子供の頃から慣れ親しんできた正義と悪の戦いの物語、感動的な死… 日本から遠く離れた紛争、それに巻き込まれて死んでいった子供達… そういった類のエンターテイメントやニュース番組を日々消費する事で本来の死の匂いから遠ざかっていく感覚がありました。虚構の死に感動し、遠い世界の紛争に心を痛めては、直後に流れるCMやグルメ番組に気を取られて忘れてしまう。身近に存在するはずの生と死を感じる事なく、不自由ない生活をおくる。 […]
2022年1月19日

篠田優 写真展「on the record | 海をめぐって」

展覧会概要  篠田優は東京を中心に、展覧会や作品集の出版など精力的に活動する写真家です。太平洋戦争時代に建設された遺構や、取り壊しを控えた公共建築などを主な被写体として、大判フィルムカメラや4K動画による精緻な描写によって、記録性と表現性を兼ね備えた写真・映像作品を制作しています。 本展覧会では、篠田が現在まで継続している東京湾沿岸に取材した写真や映像を組み合わせて発表します。篠田は2015年から、三浦半島と房総半島という東京湾を形成するふたつの土地の沿岸部に残された遺構を訪ね歩き、写真に記録するプロジェクトを現在まで続けています。その被写体の大半が太平洋戦争末期に掘削された壕であり、作者はその内部に残された往時の掘削痕や開口部から見える現在の光景を写真に捉えてきました。 また同時に篠田は、そうした壕や砲台といった遺構、そしてその周囲の様子を高精細な動画で撮影した映像作品も制作しています。そこでは、かつての軍事的な施設が観光地へと変貌したり、草生したりして日常の景色の中へと埋もれている様を客観的に見て取ることができるでしょう。 さらに近年では、京浜や京葉の工業地帯における汀に着目して写 […]
2021年12月21日

川名晴郎 個展「雪」

展覧会概要 主に日本画材を用いて制作した平面作品7〜10点による展示です。自分の中には日常的に目にしているものと、メディアを通して触れるイメージが存在しています。それらを絵の中で混ぜ合わせることで、自分が感じている空気のようなものが展示空間にも流れたら良いなと思います。
2021年12月7日

鼻崎裕介 個展「東京日日」

展覧会概要 鼻崎裕介は1982年和歌山県出身の写真作家です。2007年に東京ビジュアルアーツ写真学科を卒業、独立後は2011年〜2019年 ギャラリーニエプスメンバーとして活動し、『City Lights』(ふげん社、2018年)を上梓しました。 本展覧会で発表する作品は鼻崎が2013〜2021年に東京を撮影したカラーのストリートスナップです。東京と大阪を2部構成でまとめた自身初となる写真集『City Lights』を経て、このコロナ禍で思うように街で撮影ができない中で改めて自らの写真を見つめ直し、それらに2018年以降に新たに撮り下ろした作品を合わせて構成した「東京日日」を発表いたします。 コロナウイルスの蔓延によって様々な行動が制限された中で、今までは気づかなかった普段の生活の豊かさと、非日常さをお楽しみいただけます。
2021年11月23日

岩崎美ゆき 写真展「折りたためる海」

展覧会概要 写真家の岩崎美ゆきは東京を中心に活動し、近年は新作による展覧会の開催を着実に重ねています。 本展覧会は2019年の「この海は、泳ぐためではありません」から数えて3回目にあたるAlt_Mediumでの個展となります。 岩崎の作品はデビューより一貫して、直裁に風景を写しとる硬質なストレートフォトグラフィーによって構成されています。深い被写界深度で撮影された写真は、画面の隅々までピントが合うことにより、かえってそれを見る者の眼差しを画面上に彷徨わせるようです。 また同時に、そのようにして撮られた岩崎の写真には、耳目を集めて特別に名指される土地や景観というよりも、普段には人々が何気なく通過してしまうような光景が写し留められています。 本展覧会に寄せた文章からもわかるように岩崎は、写真が作者の内的なイメージの等価物へと収斂されることに抗い、それらを一種の開放的な「場」のようなものとして存在させることを試みているのです。 平明でありながら、それゆえに言葉しがたい深みを感じさせる写真群をこの機会にぜひご覧ください。 === 見えているのに理解できないものへの畏怖。見えているのに意識にのぼ […]
2021年11月16日

田川基成 写真展「NAGASAKI SEASCAPES」

展覧会概要 長崎県の離島出身の作家・田川基成は、自身のルーツとその後の移動や旅の経験を通し、移民と文化、土地と記憶、信仰などに関心を持ち写真作品を制作してきました。2016年頃から故郷・長崎に目を向けて撮影を続けるシリーズは、展覧会「見果てぬ海」(2020〜2021)や写真集『見果てぬ海』(赤々舎、2020)として発表されています。 本展では、未発表の新作写真から、長崎の海岸と島々を巡り撮影された海の風景=SEASCAPESを主題とし構成されます。作家は4年ほど前、幼少期より遠く西の海の向こうに眺めていたという五島列島の無人島に、海を渡って初めて訪れることになりました。その島の高台から見た光景は、遠く東の海に自身が育った島を見渡すことができ、「風景が反転してしまった世界、あるいはパラレルワードに渡って来たかのような不思議な知覚」を得たのだと言います。同時に田川は、「海の向こうを見る者はまた、海の向こうからも見られていた」という事実にも気がつき、以来、そのことを意識しながら撮影を行ってきました。また、約600もの離島が存在する長崎の海は、間に海を挟んで「見る、見られるを延々と繰り返す環世 […]
2021年11月9日

山崎雄策個展「白い施設」

展覧会概要 山崎雄策はTOKYO FRONTLINE PHOTO AWARD #4準グランプリ(飯田志保子賞、濱中敦史賞選)や写真新世紀2014優秀賞(清水穣選)など多くの受賞を重ね、その作品発表において常に耳目を集める気鋭の写真家です。 本展覧会「白い施設」は山崎にとってAlt_Mediumでの3年ぶり2回目の個展となります。Alt_Mediumにおける2018年の個展「さかしま」での出展作をきっかけとして山崎は「造花」という存在に着目し、本展覧会にはその関心のもとに制作された作品が並びます。 造花とは人々のまなざしに供せられるために存在し、あくまでも生花の代用でありながら、レンズを通したその姿はまるで生きているかのように見えることさえあります。 山崎はキャリアの初期から、デジタルとアナログを自由に行き来し、様々な技法を用いつつ、写真のもつ真実性を逆手にとるように、虚実の曖昧な対象を画面上につくりあげてきました。そうした作品はある種の遊戯性をその表面に湛えつつも、写真という媒体の在り方へと鋭く問いを差し出すものであることが、高く評価されています。本展覧会も視覚にとどまらず、思考的にも […]
2021年10月26日

前川光平個展「隣の芝は青い」

展覧会概要 本展は、主に”Yard Art”と呼ばれる奇妙な庭や軒先を記録したイメージで構成されます。 “Yard Art”(以下ヤード)とは、缶や瓶、DIY、人形などによって精巧に装飾された路上のディスプレイを指します。それは例えば奇抜なラブホテルや商品が陳列されたアンティークショップなどではなく、あくまでも一般的な人々の住み家で構築されたものです。 5年ほど前からピザ配達のアルバイトをしている作者は、配達圏内である東京と埼玉を中心とした郊外で多くのヤードを見かけてきました。 建物全体が怪獣や猫やアヒルのフィギュア・浮き輪・西洋像に囲まれたブルーの集合住宅。座席に住人の免許証の巨大コピーと「幸運」と書かれたシールが貼りつけられた軽トラックの周りに富士山の写真がグレーの外壁に一列に並んだ一軒家。「ありがとう」「花竜二がんばってる」「音楽をやってることは幸せ」「なかなか普通になれないね」など書かれた大量の段ボールに囲まれたビーナス像と土星が描かれた絵画が置かれた美容院、など。 それらの多くは住人の個人的な趣味や近所の子供を喜ばせるため、あるいは空き巣対策であると聞きますが、ただ彼らの装飾 […]
2021年10月12日

寺崎珠真個展「Heliotropic Landscape」

展覧会概要 寺崎珠真は鋭敏な感性で風景を主題とする若手写真家です。 寺崎は武蔵野美術大学を卒業した後、東京を中心に個展やグループ展、写真集の発刊など実直に発表を重ねてきました。その清新な写真群は、「自然」を単に我々の外部的な存在として単に措定するのではなく、人間や人間の活動をもその内に含み込むものとしてそれを観るような懐の深いパースペクティブに裏打ちされたものです。本展覧会では作者自身が木々の間に分け入り、精細に捉えた新作を発表いたします。 === 現在の主な探査活動の場は樹林帯へと移った。茂みの中を歩き回ると、視点の定まらないめまいのような不安感があるがずっと浸っていたい心地よさもある。錯雑の中にあっても陽は昤々として降り注ぎ、絡まり合った枝葉は反照し渾然としたものたちのざわめきが聞こえてくる。そんなとき透かさずシャッターを切ると、自ずと風景が立ち現れる。 − 寺崎珠真